船の夜航海
NIGHT NAVIGATION

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通常、船にはヘッドライトがありません。相手船の右舷灯、左舷灯、マスト灯、船尾灯の見え具合、または、灯台や浮標の灯質によってのみ、その動向や本船の位置を見極めなければなりません。視界の良い状態で一隻だけがそこにいるならば、まず間違えることはありませんが、船舶が複走し、漁船が多数操業している海域などは、法律も複雑にかみ合わさってきますから、かなり気を使います。
私の絵のテクニックでは画面に漁船などを配することはできませんが、ちょこっとだけその雰囲気を味わって下さい。
 
今は夜航海、あなたは船橋でワッチをしています。他船がどのような状態かわかりますか? 
どこに、どのような船がどちらを向いて走っているでしょう。見合い関係を判断し操船して下さい。
 
(マウスを画面上に乗せると答えが出ます。)
 
 
操 船
 
画面から判断しますと、「もうちょっと早めに舵を切っておいた方が良い。」ということになりましょうが、擬似画像ですのでご勘弁下さい。
この画像からだけで操船号令をかけるならば、
 
Starboard !
 
ですね。右手に見える客船のトモ側を狙って舵を切らせます。ただし、その奥で出くわすであろう、左からの横切り船(本船は保持船)に注意を怠ってはいけません。

ここで適用される海上衝突予防法は、正面タンカーに対する第14条行き会い船の航法と他の動力船に対する第15条横切り船の航法です。

左舷灯(紅灯)が見える横切り船に関して本船は避航船、右舷灯(緑灯)については保持船になりますし、行き会い船の航法では互いに進路を右に転じることになっていますから、Starboard で問題ありません。

しかしながら、いつもこれほど簡単な見合い関係ばかりではありません。

例えば、この画像では示されていませんが、右側に追い越し船が存在したり、十分な水域がない場合などでは、航法通り右に舵を切っては危険です。左に進路をとらなければならないこともあります。

そのところで第8条衝突を避けるための動作
「十分余裕のある時期に」、「船舶運用上の慣行に従ってためらわず」、「その変更を他船が容易に判断できるよう大幅に」が重要になる訳です。

大型船においては、ランナップ(スタンバイ解除後)してしまうと、直ぐにエンジンを使用できず、針路のみで避航動作をとらなければなりません。ですから、早め早めに操船をすることが大切です。


上図では、船舶のみの灯火を示していますので誰だって見合い関係を容易に判断することができますが、実際の沿岸航海、特に瀬戸内海や伊勢湾、東京湾では陸上の夜景(ビルなどの光)に船の灯火が紛れてしまい非常に判別しにくくなります。内航船などの経験豊かな方々はこういった意味で目が良く、船舶の灯火発見がとてもうまいです。船舶の発見が早いと避航動作が早く取れますのでそれは安全につながるということになります。
初心者の方はレーダーやAIS画像と比較しながら船舶の早期発見に勤め、レーダーなどを装備していない小型船舶の方は速度を落として航行し、見張りを強化(双眼鏡は積んでいますか?)するなどの策をとって頂きたいと思います。というか、小型船舶操縦士免許取りたてで慣れていない方は、航海計画を十分に練り、できれば夜の航行を避けるよう努力して頂くことが無難ではないかと、私は思います。ご安全に!

 

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