船会社(運航者)の採算

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船を運航する場合には、直接船費と運航費という船会社の負担(損失)がかかります。
 直接船費は船員費、船価+金利、潤滑油、ドック料金など。用船の場合は(これらが含まれた)用船料。
 運航費は荷役料金、荷役資材、港費、燃料費など。

H/B(Hire Base)ハイヤーベース
自社船(仕組船)の場合は、1日当たりの直接船費(船員費、潤滑油、船価、金利、ドック費、船用品、飲料水、船体保険等)。
・用船の場合は、用船料(船主に支払う船舶賃貸料)/運航day
H/B (Hire Base) 1日当たりの船費 = 船費(または用船料) / 運航(航海+停泊)日数

C/B(Charter Base)チャーターベース
C/B (1日当たりの運航損益profit/day)= 運賃収入(Earning) − 運航費(Operating Expenses) / 運航(航海+停泊)日数
・運賃収入(荷主から貰う運賃)
・運航費:荷役資材、港費、水先料、燃料費(主機+補機)、代理店料等

これらを以下のように、C/B、H/Bとして比較することで営利を判断できる。

C/B (Charter Base) 1日当たりの運航損益=(運賃収入 - 運航費)/ 運航(航海+停泊)日数
H/B (Hire Base)    1日当たりの船費=船費(または用船料)/運航(航海+停泊)日数
要するに、
C/B > H/B ならば、会社は儲かっている。(勿論、純利益じゃないです。)
C/B < H/B ならば、赤字運航。
言い換えれば、
(C/B - H/B) x 運航日数 = 採算
ということになります。
台風のための避泊、船混みのための沖待ちなどなんらかの原因で、航海日数や停泊日数が延びればC/Bは下がり利益が減ることに繋がります。

それでは、おおざっぱな例題を!
(全てのデータの端数を切のええ数字で。)
25,000DW船に北米西岸から20,000t小麦積んで持ってくる航海としましょう。積みから始まって揚げ終わるまでを1航海とし、2港積、2港揚げなら一連で30日ぐらいになります。
1)運賃
   2009年6月現在の小麦で$45.-/tとする。
    20,000t x $45 = $900,000.-
2)用船料
  2009年6月現在の太平洋ラウンドで25,000DWの用船料がだ〜いたい約$10,500.-/dayぐらいですね。
3)運航費
  ・荷役料金BT(まずFIOだろうが。あとでわかる)として、積揚各々約$10.-/t ぐらいでしょう。
     20,000t x $10 x 2 = $400,000.-
  ・港費はこれぐらいの船なら1港でざっと約$15,000.-程度
    $15,000 x 4port = $60,000.-
  ・燃料費は今頃380CSTで$400.-/t 、面倒だから航海中も停泊中も1日の燃料消費量を一律30tとしますと、
     $400 x 30t x 30day = $360,000.-
そうしますと、
 C/B = ($900,000 - $820,000) / 30day = $2,666/day
 H/B = $10,500/day
C/B < H/B で大赤字!
ですので、先に述べるましたようにまずBTではなくFIOであろうと察し付けた訳です。
(運賃$45/tでのBTは帰り空で走るよりまし・・・ぐらいの場合を除いてやりませんわなあ。)
FIOならば、荷役料船社負担にはならず、当然費用は算入されませんから、
 C/B = ($900,000 - $420,000) / 30day = $16,000/day
C/B > H/B となってまずまず安泰ってところでしょうか。ちょっと足りない?まま。笑

ざっと計算した採算が$5500.-/dayとなりますので、年間を通じて順当に継続できれば、この1隻で約2億円の利益がでることになります。但し、ですよ。これに法人税はかかりますし、当然陸上社員の給料も払わねばならない。その辺は陸上企業と同じですけど。
まあ1隻で船会社を経営していくのはなかなかしんどそうです。 

 
 
   
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