荷役中、船内荷役業者の不備による損傷(Stevedore Damage)には、大きく分けて貨物に及ぶものと、船体や岸壁に損傷を与えるものとの二つがある。また、BTとFIOとによってその対処法も変わる。(船社の立場として解説)
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共通部分
1)現認書Statement factを作成し、Foremanにサインをもらう。
(船名、港名、船内荷役会社名、日付、時間、場所、損傷具合などの概要、写真)
2)船主または運航者に連絡する。
2)本船のクレーンが悪かった。船体自体が古い。梱包が不十分だったなどと、Foremanがサインをしぶることも多々あるので、場合によってはサーベイヤーを手配する。
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BTでの貨物損傷の場合
用船の場合、船員が懸念してM/Rにリマークを入れたがるが、M/Rには舷側をまたいで本船に入ってきたものについて、
@Hold内で起こったこと、
AShipperの不利となることは書かない。それらはStatement Factで済ます。M/Rにリマークが入るとB/Lにもリマークが入る。そうなると、受け荷主(Consignee)にDamage 品であることが公然とばれます。基本的に受け荷主からの問題提議がない限り請求行為は発生しないので、ささいな損傷(不積みとならないなら)の場合、墓穴を掘るリマークは避けたい。
Shipperが「Damage by carrier」のリマークをB/Lに入れてくれと言われても、同様そんなことはできないので、船社が別に作成したShipper用の現認書を渡す。
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FIOでの貨物損傷の場合
荷主が雇った船内荷役業者によるダメージなので、船社は関係ない。求償は荷主から船内業者に直接される。船社はM/Rにリマークを入れる。(B/Lにリマークが入っても良いか?もしくは、L/Gを出してもらうか?荷主に選んでもらう。)
船体・岸壁に損傷を与えた場合
BT、FIOとも軽度の船体損傷経費は、現認所をとって通常船内荷役業者に直接請求することになるが、荷物落下等による岸壁損傷などにおいては、FIOで荷主の責任範囲となりタッチしない。BTではP&Iサーベイの範疇となる。
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番外 |
(例外)M/Rに入るremark
ここではM/Rにリマークを入れるなという話をしてきたが、以下などはダメージではないので、定型文として毎航記載する。
1)Coil 積載時:Patry rysty / cover slightly dent, covertorn, coverwave
2)オンデッキ積載時:Shipped ondeck at shipper's risk, no responsibility of the carrier whatsoever |
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・Shipper Damage (出来る限り鉾前で発見すること)
船側に持ってきた時点(未だステベノータッチ)の貨物で既にダメージとなっている貨物である。製造過程からのものか、陸送時についたものかわからないが、案外ある。舷側を超えて船の中に入ってしまうと、Stevedore
Damege と区別がつかずちょいちょい揉めるばかりか、発見が遅れると航海中のダメージとされてしまうこともあるので注意を要する。
1)写真(全体、局所 及び S/O No.)を撮り船社に送る。
2)不積みとするのか? もしくはM/R、Exeception Listにその旨入れる(リマーク入りB/Lとなる)。または、これを荷主が受けるか、若しくはShipperからL/G(念書
Letter of guarantee または Letter of indemnity)をもらいM/Rにリマーク入れないかをForemanまたは船社を通じ確認する。(Before
LoadingとM/Rに記載し、その後のL/GでB/Lをクリーンにすることもある) |
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P&I 保険
P&I(Protection & Indemnity)保険は船舶の所有者や運航者が集まって作る非営利団体の保険組合組織です。日本語にしますと、船主責任相互保険組合と言えます。
Protection は船舶運行上のトラブル(座礁船舶や油濁の回収、岸壁損傷、衝突、船員の傷病など)に対する損害や費用の保障を示し、Indemnityは積荷を運送する契約上(共同海損を含む)の賠償責任の保護を示す。一般の損害保険は物を対象にしているが、PI保険は第三者に与えた損害をてん補するためのものと考えられる。
アメリカへの入港船には本保険の加入を条件としているほか、国際航海に従事する船舶の95%が加入しているというデータもある。(日本においても油濁損害賠償保障法が改正されたことに伴って、PI保険に加入していない外航船は2005年3月1日以降の入港が禁止されます。) |
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作者著書
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