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安 全 な 進 路

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荒天時における進路の選定(小型船舶操縦士必見!)
新聞、テレビなどで


天時風浪を受けての進路選定について述べたい。

小型船舶の方に参考として頂ければ嬉しいです。

まず荒天に対しては、挑戦者がいる。あなた方は冒険者ではありません! それに・・・せっかくの日曜日ではない、せっかくの命である。大切にしましょう。
しかし、用心していても


知識がお役にたつかも知れません。

では、はじめます。

まずは、
左図は、任意の方向から波を受けて航行する場合の安定性(保針、操船、揺れなど総合的に)を示すものであって、荒天(大波)に対する推薦退避順位ではない。以下を説明する上でわかりやすくするために添付したものである。ご理解願いたい。



めにも、これらの知識を十分に備えておくことが不可欠である。

向い波は縦動揺

°/ 32 = 11.25°


追い波順走(真後ろ)は波の衝撃がもっとも少ない。荒天から積極的に逃げる方法でもある。ある程度の大きさの波までは安定し航行できる。
但し、
追波をさける。

波の周期と船のRolling周期とが一致すれば、大動揺となり切迫した危険に陥る。こんなことは誰でも知ってますよね。


ブローチング現象
この現象がどのようなものか、概略そのメカニズムを左アニメーションで示した。


尾から大波が来襲し転覆に至る様を大げさにシュミレートしてみました。

1〜2回目までの
そこへ、4回目の大波が打ち寄せ船体は大傾斜を起こして波間に横たわる。
復原力喪失状態が持続する。この結果船は波の進行と直角方向に回頭しつつ大傾斜する。つまり波間に横たわろうとする。ここに横波がデッキに打ち上げる、積み荷が崩れる、自由水影響、突風などの他の傾斜モーメントが重なると船はさらに傾き、ついには耐航性が損なわれる。復原モーメントの限界を超え転覆するということになるのです。小型・高速船で起こりやすい。
ブローチング現象に対する注意点として次のことが挙げられる。
 

い周期が船舶の固有周期の1/2程度で大揺れが起こりやすい。


次は復原力の低下です。小型船舶はパタンとこけるような感覚になる。
小型船舶操縦士の方は意外と知らない
がこれも非常に怖い。

波による復原力減少のメカニズム
船の浮力は水没部の排水量(Dispacement)であり、傾斜角ををθとしたときの(初期)復原力Stabilityとの関係は以下の算式で表される。
Stability = D

は下がり、GM もまた小さくなる。算式にあてはめて一目瞭然である。

皆様がレジャーを楽しんでいた最中、注意していたにもかかわらず前線の通過などで、荒天に遭遇したとしましょう。しかし、泡食ってはいけない。
慌てて港へ帰りたい気持ちはわかるが、行できる進路を確保できるなら、それが遠回りになっても構わない。急がば回れと言います。どうかご安航をお願い致します。


参考:
1. ヨーイング

が船の長さと同程度
 で影響を受けやすい。

2. 波の性質
 のエネルギーは波高の2乗に比例

3.一般的に船は風上に切りあがる性質を持つ。



作者著書