新喫水とトリム変化量の計算

われら海族 Index


トリム計算&GM計算のページで一部触れたが、あまりにもあんまりな人が多いので第二弾として、もう少し述べる。

知っている。しかし、じゃあ、トリムはどうなる?と訊くとと航海士のくせに、途端にわからなくなる人が少なくない。

新喫水 d’(m) = d + w / 100TPC ± (Lpp/2 - , + Mid.F / Lpp ) x (+,−)w l / 100MTC


これはある喫水のときに

はまずないから忘れたのか? いや最初から意味がわかっていないのだ。

上式は、平行沈下量から計算して、それにトリム変化量を足すというやり方だが、本来は順番が逆だ。トリム変化量から考えて不都合はないかという意味だ。(新喫水を訊いているのではない)
テーブル(表)の題名は色々ある。

などで示されている表を活用してトリムを求めることもできるが、「ちょっと待ってくださいよォ」などと言ってフォアマンと荷役事務所に戻り、パソコンに向かい合わなければ見当がつかないでは、いかにも格好が悪い。素人同然だ。

最近、
それよりも、「二級持っていてこんなことも知らんのか」、「これで一航士か」と卑下されることにつながりかねないので気を付けて欲しい。私が乗った内航船の一航士もそんな感じの人が多かった。ときどきびっくりした。
上述式は費やすより、一航士としての実力を上げるべきだ。

さて、話を戻そう。
1)ことトリム変化量だけを求められることに対応するには上述公式後半部の



w :貨物またはバラストの重量  l :Midship Fからの距離
By the stern になる時は(+) By the head になる時は(-)
だけでよく、nt to change Trim one Centimeter」 という。

トは「力(即ち重量)x 長さ」だなあ。
これを理解せず公式だけ覚えても、試験は解けるが現場で役に立たないということになる。

ほとんどの船はBy the Sternで、

危ないというものは把握しておいて、計算結果がそれに近い場合には一航士(こいつがわかっていないことも多いが・・・)に相談する。
そのためには、まずメモ帳などに以下のよう書き写しておくとよい。



LadenのDraftが8m70cmとして、重きがある。

ここでさらに、
船首変化量を求めたい場合は、
 wl / MTC x f / Lpp
 (f は船首からmidshipFまでの距離:Lpp/2-,+Mid.F)

船尾変化量をshipFまでの距離)

これに平行沈


項冒頭の新喫水を求める式になります。
*LPP = BP(Length between perpendicular)垂線間長


2)任意状態における船のトリムを計算する場合。
船体、

= D 排水量 x (Mid.G - Mid.B) /100 MTC
Mid.Bは排水量等表による。


参考


ドラフトを見る習熟訓練は必要だ。チーフが見るのとサードが見るのどの程度違って、それがトン数にどのように反映するのか? 

などはエクセルが間違いなくやってくれる。何度もやらせるな、時間の無駄だ。
それよりも、ここに書いたようなことを出し惜しみせず教えてやれ。よっぽど役に立つと、私は切に思う。

内航船に乗ってるとき、「あいつらはこんなことできないだろ?」などと発展途上国の船員をバカにするようなことをよく聞かれた。そのときは言葉を濁したが、ここではっきり言っておきたい。一部を除き、とっくの昔に船員の技術・能力は外国人船員に追い越されている。
昭和50年代ではない。いまどき上記をわからなくても一航士をさせてくれるのは日本ぐらいだと思ってもらった方が身のためだ。私の知る限り、優秀な外国人船員は多い。

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