港のお仕事

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港湾運送事業
  乙仲
  沖仲仕(港湾労働者)
  船舶代理店
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  PSC (ポートステートコントロール)
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  港湾関連学校(リンク)
植物防疫所
  ポートラジオ
  管理人著書

港湾運送事業(免許制度)
港湾運送事業法第3条で事業の種別を定めています。
第1種 一般港湾運送事業
荷主又は船杜の委託を受けて、港湾における輸出入貨物の受け渡し、並びに船内荷役、艀運送、沿岸荷役、筏運送を一貫(他種事業者等と連係して)行う事業。俗に一種元請業者、又は海貨業と言います。
 
第2種 港湾荷役事業
昭和59年港湾運送事業法の改正により、船内荷役事業と沿岸荷役事業とが統合されて港湾荷役事業となりました。船内荷役(船舶への貨物の積み下ろし)又は沿岸荷役(岸壁や上屋での作業、荷捌き、保管。並びにはしけへの積み下ろし)を行う事業。
 
第3種 艀運送事業
港湾における貨物の船舶又ははしけによる運送、港湾と港湾又は場所との間における貨物のはしけによる運送又は港湾若しくは指定区間における引船によるはしけ若しくはいかだのえい航を行う事業。
 
第4種 筏運送事業
木材をいかだに組んでする運送、又は船舶やはしけにより運送された木材の水面貯木場への搬入、搬出、荷さばき、保管を行う事業。

 
第5種 検数事業
船積貨物の積込、陸揚に際し、貨物個数の計算、受渡の証明を行う事業。
不公平が生じないように、原則として本船側(シップサイド)と荷主側(ドックサイド)で別々の検数業社を立てなければならないが、兼用することもある。但し、外国貨物の本船揚げ時における検数作業は、シップ・ドックの両サイド検数を制度として確立する。(1981年)
検数が作成書類は以下の通り
@貨物の受渡の証明(カーゴボートノート等、証明書類の発行)
A貨物の仕分け、個数(タリーシート)、荷捌き(荷印)、積み付け確認業務
B積荷後の実ストウェージプラン(積付図)等、関係書類の作成
C作業日報(ワーキングレポート)、荷役進行表(バランスシート)等各種荷役関係書類の作成
Dコンテナ貨物の揚積の確認
E入出庫時の貨物情報(数量、荷印、重量等)及び貨物状態の確認
上記の内、輸出入に関する書類は、
(輸出の場合)
@Exception List (船積事故報告書)
積荷前の荷受け時に発見された異常のある貨物についての内容(損傷や数量不足についての摘要)を一覧表にしたもの。
Mate Receiptにも同様の記述がされます。→B/Lにも入ってしまう。→クリーンB/Lでなくなる。(荷主の銀行決算が難しくなる)
AMate's Receipt(本船受領書)
乙仲から委託された検数員は、貨物が問題なく船積みされた後に提出し、本船(一航士)から受け取りのサインをもらう。
BStowage Plan
(輸入の場合)
@Boat Note(貨物受渡証明書/船卸票)
貨物の検数の結果(過不足、損傷の有無)に基づき、カーゴボートノートを発行し、依頼者及び税関(バースからの保税蔵置場への搬入の際)に提出。
カーゴボートノートにリマークが記載されると、それは輸出地から輸入地に向けての輸送中に発生したものとみなされる。 輸入者は、このリマークをもとに、保険会社に対してクレームの手続きを行うことができます。
(輸出入共通)
@タリーシート:積荷・揚荷を1巻づつチェックしていくsheet
ABalance Sheet : 荷役数量(各Hatch毎の積数、残数を記載。通常昼夕に作成。荷役の行き足を検討するためチェックする)
BWorking Report:gang数、積載トン数、労働/休憩/待機時間等を記載。請求書はこれを基礎としてチェックする。

第6種 鑑定事業
船積貨物の積付に関する証明、調査、鑑定を行う事業。
貨物・船体、その他に損害があった場合、その損害の程度、原因などを調査する。または、船積貨物の積み付けに関する証明、鑑定を行う事業。3つに大別できる。
@貨物・船体の損傷等により、荷主や船社の保険会社(hull underwriter)から派遣されるサーベイヤー および貨物検査、積付等のために荷主や船社から派遣されるサーベイヤー(ドラフトサーベイや、バンカーサーベイなども同様)。国土交通大臣の免許が必要である。代表的な公益法人では、日本海事検定協会NKKK/新日本検定協会SK/日本検査JIC
AP&I クラブ サーベイヤー
人身事故や港湾施設損壊、積荷の損害など、船舶所有者または運送人として第三者から損害賠償請求を受けるような事象が発生した場合には、船主や運航者はP&Iに連絡し、彼ら(P&I クラブ)からサーベイヤー(NKKKなど)を手配します。
*尚、PIでは、老齢船のコンディションサーベイ(堪航性)も行います。
Bクラスサーベイヤー
船体事故若しくは船体損傷の恐れがある場合には、船主はクラスサーベイヤーを手配し「堪航性」の確認、修理方針の決定を行う必要があります。
一方、船体損傷についての求償は別途鑑定人が必要となる。また荷役による船体損傷は通常「普通期間保険」には含まれていませんので、損害調査の手配は保険会社からではなく、船主からとなる。代表的鑑定人:NK、JG


第7種 検量事業
船積貨物の積込、陸揚に際し、貨物容積、重量の計算、証明を行う事業。
 
港湾運送関連事業
@船貨の固縛事業
 
貨物のSecuring (Shoring, Chokink, Lashing)をする。(Carpenter)
A船貨の梱包事業
 船積み、船下ろし貨物の荷造り、荷直し。(Cooper)
B船倉内清掃事業
 貨物の船積み前、又は船下ろし後における船倉清掃。(Sweeper)
C警備事業
 船積み、陸揚げ貨物の警備。(Watchman)
 
乙仲
戦前、傭船ブローカー(船舶・船腹の賃貸、売買、不定期船への大量貨物の輸送取り扱い等の契約・交渉業務)の甲種海運仲立業に対し、定期船への個品貨物海上輸送を委託(船社と荷主との間に立ち、貨物の授受に携わる)されるのが乙種仲立業者でした。現在では甲仲や乙仲という制度は無くなり、港湾運送事業法に基づいた1種事業者がこれに変るものとなりましたが、名残と言いましょうか、俗称といいましょうか、通関業、倉庫業、船社との交渉、銀行書類や船積書類の作成等を広く行う海運貨物取扱業者を乙仲と呼んでいます。
  定期船 (Liner) 不定期船 (Tramper)
航路 一定でスケジュールあり 不定
運賃 タリフにより決定 変動
貨物 個品運送(製品等) 大量輸送(原料等)
荷主 多数 1〜数社
船種 1〜5万トンクラス(コンテナ船等) 大型船(バルク、タンカー等)
契約条件 Berth Term 傭船契約 (FO, FI, FIO, BerthTerm)
Berth Term
積地船側受取、揚地船側渡し。船内荷役料船社負担。要するに船の鉤鉾で吊り上げるところから、吊り下ろすところまで、船社が責任と料金(荷役)を負担する契約。
FI
船積荷役料荷主負担
FO
荷揚荷役料荷主負担
FIO
船積荷揚荷役料荷主負担
 
 
 
沖仲仕(おきなかし)
クレーンでの荷役 けんか巻きでの荷役
広辞苑には「はしけと本船との間で荷物の揚げ下ろしをする人夫」と書いてますが、私はあまり正しい表現でないと思います。はしけと本船の・・・は、それと限りません。今では岸壁での揚積が大半です。又、人夫という表現も的確でないように思います。彼らは港湾作業として必要な幾つもの免許を取得していますし、経験と実績に基づいた高い能力を有し仕事を遂行します。私は特殊技能者と記すべきではないかと考えます。
 
この沖仲仕という呼び方については、蔑称・差別用語とまではいかないが、NHKや民放等の放送局またはマスコミが自主的に決めた「放送上さけたい用語・いいかえ用語」のBランク(A…使用しない。 B…文脈により使用しない。または、特別な場合意外は使用しない方がよい。 C…注意して使用する。)に位置付けされているため、現在では港湾労働者と呼ぶほうが良いことになっているようです。理由は単純に、間違った悪いイメージからではないかと推測します。ちなみに町医者(開業医)というのはBランクで、やぶ医者(医師)というのはCランクです。(なにがどうなのかよくわからないでしょ?) 良くご存知のスチュワーデスはBランクで、キャビンアテンダントなどと云い返られたそうですが、それがどうしたと言う感じ。飛行機内で「スチュワーデスさん」と呼んで無視されることはありません。
私個人としては、「港湾労働者」という硬い言い方よりも、悪意が無い限り「沖仲仕」の方が職人というか、粋でイナセな感じがして良いと思うのですが、人それぞれ受け取り方が違いますので一概には言えませんね。(余計な話ですが、私が勤める大阪港では「気が優しくて力持ち」的の上、結構男前の方が多いです。)
ですから、私が考えるに町医者、スチュワーデス、沖仲仕、どれも尊敬して呼称するに問題はないと思うけどなあ。
 
港湾労働者を英語では Stevedore 米国では Longshoreman と言います。荷役関係人をステべと呼ぶのはここからきているのでしょう。私も本船に行き一航士に会って、まず口にするのが
「Good morning sir, I'm Stevedore's Foreman.」
です。
(日本英語なのでしょうけど、日本語を英語に直すときには、船内荷役業をStevedoring、沿岸荷役業をLongshoring、と区別してるみたいです。)
 
 
 
船舶代理店
船舶が港へ入港する際には様々な法律の規制をクリアーしなければなりませんが、それを一手に引き受けて対処する業務を担います。関係各所への書類作成から申告、また、病院、タグボート、パイロット手配等、船員や船舶について各種アテンドをします。
適用法令 関係各所 提出書類・手続き
港湾法 港湾管理者(港湾局等) 岸壁使用願、使用料納付 等
港則法 港長(海上保安庁) 入出港届 停泊場所指定願、移動届、危険物荷役許可願 等
検疫法 検疫所 通常検疫・無線検疫手続き 鼠族駆除証明 等
関税法 税関 入出港届、積荷目録、船用品目録、トン税納付、出港許可書等
出入国管理令 出入国管理局 入港届、Crew List、乗組員上陸許可申請書、Shorepass等
船員法 運輸局 雇入・雇止手続き、海難報告 等
 
 
 
通関士
輸入品による関税が賦課課税制度から申告納税制度に改められた昭和42年にできた資格です。
貨物を輸出入するためには税関で行われる通関手続きが必要になります。そこでは保管、輸出入申告(通関書類の審査・記名捺印)、関税納付の他、検査への対応や意義・不服の申し立てなどの行為が発生します。これらを民間企業に代わって行うのが税関長の許可を受けた通関業者であり、その専門的な知識を持った者が通関士で、上記の行為を独占的に行えます。
通関士は国家資格ですが、独立開業することはできません。通関業社に属し、税関長の確認を受けてのみ仕事を行えます。ただし、通関業法で「各営業所に1名以上の通関士を置かなければならない」と規定されているため、乙仲等で働く場合にはちょっとだけ優遇してもらえる場合もあります。(取得するのが当然という会社も多い)
 
通関士国家試験を取得するには 
a. 受験資格に学歴・年齢・性別・経験などいっさい規制はありません。
b. 試験科目(3科目)
  (1)通関業法
  (2)関税法、関税定率法その他関税に関する法律および外国為替および外国貿易管理法 
  (3)通関書類の作成要領、その他通関手続きの実務
 ただし、通関関連業務に従事した期間(税関申請が必要)が5年以上になる場合は(3)が、また15年以上になるときには(2)及び(3)が免除されます。
合格率は平均10〜15%程度。  
 
近年、通信教育講座でも「就職に有利、貿易実務のスペシャリスト」を謳い文句に受講者募集をしていますが、一通りの教育課程で10〜20万円の費用がかかります。
一つの選択肢ですから否定できませんが、私の経験からいきますと、国家試験は短期集中がよいと思いますし、金額が高いような気がします。通関士試験自体はその実務に比べ、ごく簡単です。そんなにビビルものではありません。考えても見て下さい。非常に難関な国家試験では、専門の大学や学部があるはずです。それに履歴が必要であっても、その業務に携わったからといって免除などしてもらえません。逆に考えるなら、独学で十分対応できる国家試験だと言えます。(私でさえ受かりました。) 
私の勉強法が参考になるかどうかわかりませんが、推薦本は中央書院から出版されている片山立志先生著「通関士試験合格ハンドブック」です。私が取得したのはもう10なん年も前になりますが、その当時で\3,500でした。私はこの本と問題集の2冊だけを利用し、約2ヶ月間勉強して合格しました。

船乗りの方に比較し理解して頂くならば、甲種二等航海士試験(三級海技士)と同等くらいの難易度でしょうか。いやこっちの方が難しいか?
とはいえ、働きながら国家試験を受験することは大変な労力と忍耐を必要とします。年齢制限がないゆえ、できれば学生のうちに取得しておいて下さい。
皆様のご健闘をお祈り致します。
 
 
 
パイロット
PILOT と聞いて、皆さんが思い浮かべるのは飛行機の操縦士ではないですか? でも PILOT には操縦や案内と言う意味があります。そして、ここで説明するのはこの語句が港で意味する「水先人」という仕事についてです。一般的には「水先案内人」と言ったほうがわかりやすいかも知れません。
船を操船する場合、最も難しいのが出入港及び離着岸です。港の中は船が複走していますし、地形・航路もそれぞれに複雑だからです。いくらプロである船長と言えども、何百とある全ての港の特殊事情を把握することはできません。そこで港や水域の入り口付近で、それらを熟知・精通した水先人が乗船し、船長に代わって船を安全に誘導します。
パイロットが乗船している」を意味する「H旗」
ただし、水先法第17条には(国際法でも同じ)
1 船長は、水先人が船舶におもむいたときは、正当な事由がある場合の外、水先人に水先をさせなけれ  ばならない。
 前項の規定は、水先人に水先をさせている場合において、船舶の安全な運航を期するための船長の  責任を解除し、又はその権限を侵すものと解釈してはならない。

と規定されているため、事故が起こった場合には船長責任を免れないので、船長は水先人の操船を見守り、必要と判断した場合には、操船権(水先)を剥奪し自らが操船をしなければなりません。
(私が船乗りの時にも、水先人が乗船しているにもかかわらず、危険と判断し途中から船長が自ら操船したということが度々ありました。)

諸外国では船乗りとは別に水先人専門の学校があるそうで、よく若いパイロットが乗船されてきましたが、日本や韓国は船長経験者でないとパイロット試験を受けることができません。(ですから日本のパイロットはおじいさんばかりです。)その要件は水先法第4条に規定されています。
一次試験(筆記)
2年以上船長として総トン数3,000トン以上の船舶(平水区域を航行区域とする船舶を除く。)に乗り組んでいたこと。
二次試験(口述)
一次試験に合格した者で、国土交通省令で定める一定期間(3ヶ月)以上水先人になろうとする水先区において水先修業生として実務を修習したこと。
 
例えば、一次試験では白紙の海図を渡され、「港外から指定岸壁まで水先せよ」等の問題が出るらしく、まずは正確な海図から作成しなければならないという非常に厳しい国家試験だった。
しかしながら、船長までされた方たちですから、訓練次第ですぐにそれら試験には対応できるようになります。最大の難関はパイロット試験合格後にあった。
水先人は個人商店と同じように個人の労働採算制ですが、水先人会に入れてもらわなければ営業できません。しかし、それは定員制の上、水先区ごとに学校派閥と会社派閥があって、あてはまらない者はなかなか推薦を得られず入会できなかった。
操船の上手いキャプテンがたくさんおられるというのに、そんなことで否定されるのはもったいないことですが、既得権的な要素があるため、仕方ないのかもしれません。航海科出身の最高峰であるパイロットになるのは相当に困難な道のりだったと言えます。だから水先人というともの凄くステータスが高く、港の誰からも尊敬されていたものだった。

それが、近年、パイロットへの成り方が大きく変わった。この日本の水先人制度を事実上既得権的に長年牛耳ってきたのは、なにをかくそう大手船長OBであったが、全国に必要な600名あまりの水先人数を大手OBだけでは賄えなくなったからだ。外航船員がいない。だから大手船長あがりでなくとも水先人になれる道が開けた。
ただし、この既得権を守りつつパイロット制度を変えたから、現在はその思惑どおりいかなくなっている。皮肉だ。大手は陸に上げてなかなか履歴をつけさせないから53歳以上くらいでないとなれないが、内航(フェリー)に就職して早く一航士になる(28〜33歳) → 転職し、3000t以上の内航タンカーやPCCあたりで船長2年→海大水先科に行く。などしてだいたい35〜40歳前くらいには一級水先人になれる。従って、大手出身のパイロット就業率が下がって、内航の出身者からのパイロットが出身校や出身会社関係なくバンバン増えている。なので相変わらず金儲けはできるが、そのステータスは昔ほどない。その上、早く水先人になった方が威張れるらしいので、外航大手から歳食っていった船長でも当分の間は肩身が狭いとも。
また、せっかく一航士まで育てて辞められるフェリー会社等が相当困っているとも聞く。入れても入れても水先人になるから、また若く一航士になる。→辞める。その悪循環が発生しているのか。
水先人試験を難しくしたり(現在は手を揚げれば98%くらいなれるそうだ。こんな国家試験は珍しい。50%以下にしたほうが良い。)、大手会社の意地悪を無くしたり、逆に内航船上りには厳しい条件(履歴を伸ばす)を付けたり、パイロット料金を大幅に下げる(年収をフェリーの船長クラス以下とする)、定年を下げる等の措置をしない限りこの流出(バランスの崩れ)は止まらないだろうなあ。
今のシステムで良いこともあるのだろうが、既得権益を排除したらもうちょっといいものができると、私は思う。20年以内に外航出身者と内航出身者のpilotさんの数が逆転するだろうが、過半数となった暁には、極端な話「外航船の船長は出入港機会が少ないから、履歴を5年にします。」などになって、外航出身からは、より成りにくくなるんだろうなあ。既得権とはそういうもんだなあ。

今は海大がパイロットの教育機関となっているが、廃止し新たに座学3年+就業生1年等の大学校を作る。入学資格は短大卒以上(一般大学出身者も受け入れることで、成り手不足を即解決)と門戸を広げるが、入学試験レベルを上げるのは勿論、空のパイロットと同様に運動神経など適性試験なども実施して適格も厳しくする。(船長経験者でも関係なく同様の試験を受ける。)
また、三級海技士以上の資格取得者は3年生に編入可(船乗り上りのメリットはここのみに存在。但し、編入試験は厳しく合格率を下げる)。卒業すると3級パイロットをもらえて、誰でもそこから始める。その平均年収は500万程度、経歴5年で2級試験資格を得て平均年収800万程度、さらに経歴5年で1級パイロット試験資格で平均年収1200万円程度。個人商店ではなく公務員的にする。定年は65歳。
大手船社が一般大学から募集し、自社教育によって2年程度で航海士・機関士を育成している。彼らは非常に優秀でそれが十分可能であることを既に証明しています。パイロットもほぼ同じですね。(パイロットの方が船員より技術的に勝っている部分もあるが、知識的に狭くて良い部分もある) 若い方が運動神経も、覚えもいいから船長などの経験なくとも3〜4年で教習できる。
外国では船員とパイロットは区別されて、上記のようなパイロット育成学校が普通のようにも聞く。
日本も船員の延長線上にあるようなシステムを廃止し、どこかできっぱり既得権を排除すれば公平・安定的なものの開設・供給が可能となります。(現在の歪に気づいている人は多い) これらで業界間の引き抜きや、早期リタイヤなどの不文律もなくなり、海運各社には永劫の安寧と均衡が保てるようになる、と私は思う。既得権を持った人間が法律やシステムを作るのだからこりゃ無理か。しかし、
大手船社がそろそろ動くような気もする。電車は何歳まで運転士するのかなあ、飛行機も72歳までジャンボジェットの機長なんかさせるのかなあ? 定年になるような歳になってから一番難しいところの仕事をするなんて、船だけかわってんなあ。
 
日本には39の水先区があります。そして、特に海上交通が頻繁、もしくは地形や海象などが複雑な港や区域を航行する一定以上の船舶では、船長の判断によることなく、水先人の乗船を義務づけています。これを強制水先区と呼び、日本には11ヶ所あります。(フランス、アメリカ、ドイツなどでは、外国船に対し全水域が強制水先となっています。)
日本の強制水先区
港・水域 適用船舶
横須賀港
佐世保
那覇港
総トン数300トン以上の外国船。国際航海に従事する総トン数300トン
以上の日本船。国際航海に従事しない総トン数1000トン以上の日本船。
川崎港 総トン数3000トン以上の船舶。危険物積載船は総トン数300トン以上
関門港 総トン数3000トン以上の船舶。危険物積載船は総トン数300トン以上。
若松1〜4区に出入する船舶は総トン数1000トン以上
東京湾
横浜
伊勢湾
(伊勢三河湾区を含む)
大阪湾
(神戸港、大阪港を含む)
備讃瀬戸
(水島港を含む)
来島海峡
関門海峡
(通過船)
総トン数1万トン以上の船舶
強制水先の免除
艦船、内航の定期旅客船やフェリー、「航海実歴認定制度」適用船(当該強制区を4回、関門区の入出港の場合は6回以上航海した実歴を持つ船長が、日本船舶又は日本の法人が用船した船舶で航行する場合)は、パイロットを乗船させることが免除されます。 
 
 
 
PSC(ポートステートコントロール)
国際条約(IMO)において、船の安全(船舶の構造、設備、技術基準、船員の資格等)は旗国が監督・保証することになっていますが、便宜置地籍船(税金の安い国に船舶の籍を置く)やレベルの低い船員の増加等に伴い国際基準の要件に満たない船舶がはびこってきました。これを打破するため旗国とは別に寄港地においてもSOLAS条約、MARPOL条約等の下、船舶の立ち入り検査・監督をすることになりました。これがポートステートコントロールです。運輸局管轄の検査官のヘルメット正面には PSC の文字があります。
 
小耳に挟んだ情報ですが、海図を持たず中学地図帳のFAXコピーで入港してくる船(逆にすごいです)。 救命ボートが穴だらけ。レーダーがない。航海士がライセンスを取得していない。船だけあって乗組員がいない(船を捨てている)。 乗組員が母国語しか話せない。など常識では考えられない無法者の船がたくさんいるそうです。
 
PSC の結果、国際条約に違反もしくは条件をクリアーしていないと判断された場合には、海上保安庁や港湾管理者などと連係して、出港停止、拘留の処分や監督措置をとります。
 
 
 
フォアマン
モハメッド・アリ、ケン・ノートン、ジョー・フレイジャー、ジョージ・フォアマン・・・往年のボクシングファンにはたまらない名前ぞろいですね。でも、ここでいうフォアマンとは一切関係ありません。
 
港湾では荷役総監督のことをフォアマンまたはスーパーバイザーと呼びます。私も長い間やっておりました。荷役総監督などと言いますと、さぞお偉い方のように思われるかも知れませんが、そんなことはありません。英語を日本語になおす時に適当な言葉がなかったのでしょう。
元請は荷主や船社と契約し荷役を行う窓口となっているので、便宜上荷役プランを立てます。ですから、元請に属するフォアマンは、本船側とのやり取りをスムーズにする事と、その責任の範囲を明確にするために置かれた立場です。私の場合は揚荷のフォアマンがメインですので、中でも特に大した部類に属しません。少しの船の知識と、少しの英語力があればできます。(まず当サイトに書いてある程度のことが理解できれば6割〜7割ぐらいは十分に対処できるでしょう。)
ただし、積荷のフォアマンは一等航海士との綿密な打ち合わせが必要なため、その存在に値打ちがあります。
 
荷役の主たるものはやはり港湾労働者の方々で、彼らが長年培ってきた経験と技術に頼って荷役は遂行されます。その中でも、もっとも重要な役割を果たす人が彼らの長である「責任さん」(これは大阪の言い方です。)で、荷役はフォアマンが書いたプランを参考に「責任さん」の段取りで進んでいきます。従って、プランを渡せばほぼ50%フォアマンの仕事は終ったも同然ですが、荷役中には「責任さん」、本船、沿岸業社、荷主等から様々なリクエストが出ますので、それを相互に連絡・調整・交渉したり、事故に対処(責任を明確にすること。書類の作成等)したりするため、常時デッキ上で待機していなければなりません。
主な仕事
 @荷主または船社から送られてくるShipping Advice により Stwage Plan を立てる。   
 A船社または代理店と入港日時並びに作業予定を打ち合わせる。
 B荷役関係業者(2種業社、検数等)に連絡、必要な手配を施す。
 C本船入港後、必要に応じB/LまたはD/O提示、一等航海士と打ち合わせ。作業安全確認。指揮。
 D適宜書類(N/R、Time Sheet、Claim Report、Damege Report、Guarantee Letter、Voucher 等)作成
  またはサイン。
 E作業手順、変更、効率、安全等を随時関係者と打ち合わせる。
 F荷役終了予定を検討、代理店に連絡、出港時間のアドバイス。 
 G請求行為対処
   
以下これぐらいはフォアマンとして最低の知識・資質です。ハッチ蓋を開閉指示するだけでは能がありません。
※ 元請の憂鬱と大罪 (付録:ハーグ・ヴィスビー条約和訳)
※ 元請の憂鬱と大罪U 
※ 実用載貨計算法
※ トリム計算&GM計算



港湾関連学校
港湾関係のプロを養成する学校として、以下のような所があります。
関西職業能力開発促進センター(大阪港湾カレッジ)
港湾職業能力開発短期大学校神戸校(ポリテクカレッジ神戸港)
 


植物防疫所
植物防疫所は、わが国の植物に被害をもたらす海外からの病害虫(検疫病害虫)の侵入を未然に防ぐため、全国の海港や空港で輸入検疫を行っているほか、重要病害虫の国内でのまん延を防ぐための国内検疫、諸外国の要求に応じた輸出検疫などの業務を行い、わが国の農業を守るために力を注いでいます。--------と農林水産省植物防疫所のHPに書かれています。が!

多くの防疫官が非常に威張っていて、民間会社に対し驚くほど高圧的です。検査してやっているといわんばかりの高慢な態度と、木で鼻を括ったような物言いです。検査においては横の物を縦にもしない。箱を開けたり品物を出したり、並べたり,、または、再び積めこんだりなど、一切致しません。まさに大名釣りといった感じです。港には税関、運輸局、入国管理局、保安庁、港湾局、水上警察など様々な公務員は多かれど、彼らほど顕著な方々はいません。

民間業者は植物検疫をスムーズに行う為、社団法人を作ってこれに対応していますが、防疫官はそれらの車を運転手付きで自由に使用しています。また、植物検査は揚地で行われるため、それは民間会社の上屋や敷地内ということになりますが、その仕事の合間などは毎回、当然の如く業者にくつろぐ部屋を用意させ、お茶を持ってこさせ飲みます。(強要ではないですが、儀礼化されていて出さないと非常に機嫌が悪くなります。)
時代遅れの法律のために彼らがいるのか? 彼らのために時代遅れの法律があるのか?
私には未ださっぱりわかりません。
害虫の蔓延を防ぐ為と言っていますが、毒を持ったセアカゴケグモが堺及び大阪の港頭地区で帰化動物となっています事に対して、防疫所が責任を感じ、絶滅に総動員で日夜努力しているという話しは聞きません。(ある程度の期間駆除を行ったのは事実)現在はほぼ野放し状態です。「温暖化により越冬してしまう害虫が出てきた。」ぐらいで片付けていますね。既成事実ができたからと諦めるのであれば、もとより植物防疫法の主旨から外れています。要りません。少なくとも法律は現代に合った改正が必要でしょう。

例えば、果物の輸入に関してはどのような植物防疫検査が行われているかと言いますと。
品物により異なりますが、たった0.01〜0.07%程度しか検査をせずに虫がいるから、くん蒸だの、虫がいないから合格(くん蒸なし出庫)だのを決定しています。
全量を検査しているわけでは決してありません。つまり、
同じ産地、同じ農園から週に1度輸入される商品が5万カートンあっても、毎回たった30カートン程度しか検査せず、「今回はくん蒸なし」、「今回はくん蒸あり」などと決めるのです。不思議ですね。
それなら、「○○国から輸入される○○(食品)は検査せずとも必ず青酸ガスくん蒸にしなさい」と決められていた方がずっと説得力がある。勿論、この場合でもくん蒸後における不定期のモニタリング検査は必要ですが。(これはあくまで例だが、植物防疫法及び関係法令を進歩的に改正することにより防疫官の大幅人員削減が可能とも考えられる。) 
これに対し「青酸ガスくん蒸で死なない虫がいる。それを発見した場合はメチプロくん蒸を施さなければならない」などと提するなら、メチプロくん蒸でも死なない虫がいるのも事実で、それについては現在これ以上の対策を講じていない放置状態です。全くつじつまの合わないおかしな話だと言わざるを得ない。

船から陸揚げされる全ての貨物は、時間の長短を別にして必ず一旦岸壁にさらされます。船から上屋まで野ざらしの岸壁を通過しなければ上屋に到達できないのですから当然です。しかしながら、植物検疫の検査は上屋で行われます。また、そのくん蒸も上屋で行われます。虫がいるなら、もう既に岸壁にうようよ出てますよ。いいんですか〜?と問いたくなる。(船上検査や原木のように船倉内くん蒸を行っているなら話は別だ。)
私が思うに、
そもそも生物がその子孫を残していくには、ある程度の個体数が必要で(生物によってその必要数は異なる)その個体数未満の物が入ってきても繁殖は不可能である。それに生物が生存していくためには、それにあった気候または環境がなくてはならない。従って、現在輸入される植物に付着する生物があったとしても、これらの要因により支配され生存し続けることが不可能であるというのが大筋だ。
防疫官の地道な努力のみによって植物防疫の全てが達成されているとは、まずもって考えにくい。(ただし全くないとは言えない) 
逆説になるがセアカゴケクモがよい例で、それを証明している。仮にどれだけ厳重に検査をしても、船のことです。どこからか虫は入ってくる。そしてその生存環境が整っている場所ではその繁殖を抑えることは、もうできないのではないでしょうか? 

果物などの輸入では先に述べましたように、極少量の抽出品しか入念に検査しませんが、防疫官は対象生物の成虫は勿論のこと、卵や幼虫を発見しますと、日頃ムチュ―と仏頂面をしているのに、ニヤ〜と笑ってムッチャ嬉しそうな顔をします。そんな検査で悦にいっていていいのかと、冷めた目で見ている私は、「そりゃ、おるやろう」といつも率直に思う。
(だから・・・そこにいるなら岸壁にも、風雨にさらされている船上にも虫はいっぱいいっぱいおりますよ。)

民間に勤める者としては、植物防疫所の大義と志には敬服するが、民間業社に対する対応を含め、改善の余地が多いにあるように思われる。しかしながら、民間業者も反省する点はある。まるで腫れ物に触るように彼らと接する者が多い。法遵守のために申請し、一件につきいくらと正当な金銭を払っているのだから、そこまで必要以上に媚び諂う必要はない。検査してもらっているなどの考え方はもってのほかで、それが彼らを助長させ自分の首を絞めてきた節も否めない。利害関係がそこに存在してはならない民間と役所である。それゆえ、決して上下関係があってはならない。もっとフランクに対するべきではなかろうか。



ポートラジオ
船舶と陸上関連行政施設等相互間の連絡業務を行い。船舶安全航行の支援、船舶動静の把握、関連業者への連絡(インターネットサービスを含む)等、港湾における船舶運行の重要なポジションを担います。行政機関に委託された民間業者により運営されていることが多い。詳しい内容はこちら