Bad Low

世紀の悪法「水先法」と、法外な水先料

われら海族
 Index


 現状の水先の在り方や、養成制度について、(将来的にも)大きな問題や疑問があることは、海運業界に身を置くものなら誰でも知っている。しかしながら、これをほとんどの者が公表しない。私が唯一目にしたのは、船主協会が平成15年10月に「水先問題」として(国土交通省に申し入れた)発表したものに限られる。

なぜここまでアンタッチャブルなものになっているのか? それは、そこに海運界のしがらみが存在するからに他ならないのだが、私には幸か不幸か、現在それが全くない。なので、その「水先問題」の現況(元凶)を解説します。まずは、日本の水先料が世界水準でどうなっているか見てもらいましょう。

日本の水先料は二重取り、三重取り!
日本の水先料は水先区ごとに法令で定められている。まずGWT1000tを標準(基本料)として水先料金がある。これでさえ十分に法外な価格であるがさらに、GWT1000tを超えるトン数(1000t毎)と、喫水3m以上の超過部分(30cm毎)について加算額を乗じた和によって算出される。1回につき、いくらではない。大きな船になればなるほど、儲かるしくみだ。
水先料の上限認可額という表があるが、素人には非常にわかりにくい。こういうやり方は、現在、日本と韓国に限られる。
(例を挙げる)
29,500G/W、LOA190m、Draft9.0m、B30m、D16m の船舶を水先させると、

日本の場合(例:友ヶ島から入り、大阪港に着岸させる。)
Osaka水先料 加算係数 @t(GW1t当たりの単価)
Bay 基本料金 102,140円
加算額Base 2278円 x49 111,622円
SAMPAN CHARGE 70,300円
Sub.Total 284,062円 9.63円/t
Harbor 基本料金 69,898円
加算額Base 1,060円 x49 51,940円
交通費 10,050円
Sub.Total 132,338円 4.49円/t
G.Total  416,400円 14.12円/t
(29500GW - 1000GW)÷1000 ≒ 29
(900cm - 300cm) ÷30 = 20
29 + 20 = 49(加算係数)

水先料の内、水先人会には13%を収め、他の87%が水先人の取り分となる。3時間ほどでこれだけ稼ぐ商売がどこにある? 港でエキストラレイバーを頼むとだいたい\30,000/日(1日でも1時間でも同じ)ぐらい取られる。彼らは港(荷役)のプロ、(必要な資格を持った)技術者である。ベビーシッターの時給は2000円/h、水先人とよく似た職業の代行運転は2500円/5kmぐらい。臨時で小型船の回航などに雇われると、その謝礼は、2〜30,000円/日当ぐらいのものだ。水先人は人間国宝か芸能人並みの時給で、まあ交通機関で働く人間としては、これ以上ボロい報酬はないといえよう。(平成19年水先法改正により、ベイとハーバーが統合され一人の水先で行えるようになったので、水先料は上記総取りである。)
*交通費としてのサンパン料に驚かないだろうか? 水先人はこの他、ホテル料まで請求してきて図々しい。


Korea Maritime Association
BUSAN水先料 加算係数 @t(GW1t当たりの単価)
水先基本料金    61,310W
加算額Base(基本の10%) 6131W x49 300,419W
Pilotボート 117,190W
G.Total 478,919W
円換算 47,892円 1.62円/t
日本とシステムは同じだが、基本料金を大幅に抑えている。日本と異なり、悪どくない。これでも時給換算で約2万5000円にもなる。一般社会からすると破格だ。日本でもパイロットの技術料などは、精々この程度が妥当(上限)だろう。と、私は思う。(日当のミニマムと考えても十分過ぎるほど貰っている)

PSA Marine(1.5hとする)
SINGAPORE水先料 @t(GW1t当たりの単価)
20000-30000G/W基本  $315
時間割増 30min over more $157.5
G.Total $472.5
円換算  49,613円 1.68円/t
シンガポールの物価水準は、日本以上である。

CJK(長江口)から25mile上って着岸
SHANGHAI水先料 @t(GW1t当たりの単価)
15000NRT基本料  0.5元 7500元
航程10mile以上は加算   +15mile 0.005元 1125元
Sub.Total 8625元
円換算 138,000円 4.68円/t
友ヶ島で乗って大阪港に着ける航程とほぼ同じ条件だが・・・。

PPA:Philippine Port Authority
MANILA水先料 @t(GW1t当たりの単価)
20000-30000G/W基本料  Basic $300
円換算  31,500円 1.07円/t
明朗会計! 本来料金タリフなどというものはこうでなければならない。素人にわかりにくくするタリフなどは、そこになんらかの意図を感じざるを得ない。曳き回すのはタグやろ? Draftでタグ料金が高くなる(排水量が大きくなると大きな馬力のタグが必要)のはわかるが、パイロットが割り増しをとるのは、技術料としては実に可笑しい。

ヨーロッパ辺り
TURKEY水先料           @t(GW1t当たりの単価)
GWT1000t基本料 $170
1000t以上の加算部(28500t) x $70 $1995
  Total   $2165
円換算  227,325円 7.71円/t
ヨーロッパ辺りになってくると、さすがに少々高い。(こういうことも紹介しておかないと不公平だと言われるので書いておく) しかし、彼らは上手い人が多い。

LOS ANGELS 水先料  @t(GW1t当たりの単価)
189-191m 基本料 $1,643
additional gwt 30,000t 0.0063 $189
Total $1832
円換算 192,360円 6.52円/t

SANDY HOOK PILOTS (#Pilot.Unit.=LOA(Ft.)xB(Ft.)xD(ft.)/10000)
PORT OF NEW YORK & NEW JERSEY 水先料   @t(GW1t当たりの単価)
#P.U. Basic Triff 321.9 $10.83 $3,486
Pension Tariff $3.82 $1,230
Sub.Total $4,716
円換算  495,163円 16.79円/t
*上記は、Pilot Stationから岸壁前まで15mile程度の航程を水先する料金である。友ヶ島から堺よりも少々短い距離だと考えてもらえばよい。着岸には以下(Docking Fee)の料金が別にかかる。
注目すべきは
パイロットの技量不足を利用者にディスカウントされるシステムがあることだ。日本では、風が強いだの暗いだの、船が大きいだの、水先人の技量不足にかかる諸費用を利用者に全て負担させる費用形態をとり、理解不能なことになっている。

Docking Fees 水先料 @t
(GW1t当たりの単価)
* Without Assistance of Tugs or Bow Thruster 33% of Base Pilotage Tariff $1,150 4.09円/t
* Without Assistance of Tugs, with Bow Thruster 26% of Base Pilotage Tariff $906 3.22円/t
* With Assistance of Tug 20% of Base Pilotage Tariff   $697 2.48円/t
Anchoring in Vicinity of Pilot Station at Request of Vessel $700 2.49円/t
「すんまへんなァ、私はヘタクソなんでスラスターを使わせてもらいます。燃料代かかりまっしゃろ? タグも使わせてもらいます。タグ料金かかって申し訳ない。そのかわり、Docking Feeはマケさせてもらいます。」というシステムで理にかなっている。
日本では、「水先を取る=タグ2隻Must」、スラスターがあっても風が6m/s吹いたらタグをもう1隻とられる。あのね、タグ2隻もとるなら船長が着けれるのよ。「強制やから仕方なくパイラーとるだけで。。。なのに法外な料金てどういうことやねん?」という話になるのだなあ。フィリピン人のベテラン船長がボヤクのも無理はない。これで比国のパイロット料の4倍もとられると知って二度驚いている。
上記 Docking Feeをよく見て欲しい。アンカーするよりタグを使って着岸させる方が料金が安い。タグを使えば、技量がいらないことを示している。
日本の水先料金は、欧米並みということがわかるが、プライドの高さがそれを維持する要因となっているのだろう、日本には上記のようなディスカウントシステムがない。どういうことかは、いわずもがな。だと私は思う。

これとよく似た話で、日本では夜間や巨大船に進路警戒船を強制される場合が多々ある。この料金も利用者が払わねばならない。こんな理不尽な話があるか? 進路警戒船とは、パイラーが乗って水先業務がなされている前を航しる小型船を指す。云わば露払い的なものだが。。。実のところ、進路警戒船がついた場合、「水先は誰がしとるねん?」ということだ。
進路警戒船(日本ではエスコートボートとも言う)を付けるなら、船長だけで行けるんちゃうん?という疑問が湧く。書物によると、進路警戒船とは後ろをゆく本船の航行に影響を及ぼす可能性がある船舶に注意を促し、かつ進路の安全を確保する船などとなっている。パイロットの尊厳を傷つけないようオブラートに包んで言うてるが、簡単にわかりやすく言えば先導船だなあ。
私は、「朝日放送のポツンと一軒家」なるテレビ番組をよく見る。彼らは衛星画像を頼りにかの家付近を捜索するのだが、不案内なスタッフは、地元住人に聞き込みを行う。そのうち親切な住人が道案内をかって出る。その方が先導する軽トラの後ろをテレビスタッフの運転する車がついて行くという構図が映し出されるのである。それはいつも入り組んだ山道で、さもその道を心得た者しかわかりそうになく大変そうだ。さてこの時、嚮導しているのは誰だ?後ろを行くスタッフ運転手か?彼はただ軽トラに合わせてついて行くだけのことで、まさしくパイロットは前を行く軽トラに乗った地元住人である。と、私は思うのだが、パイラーの論理からすれば、後ろについて運転してるやつが嚮導していると異論を唱えるだろう。はて?一般の方々はどう思うのだろうか? 普通は、先導≒嚮導。
あのね、ようけようけもろとんねんから、必要ならタグだって、進路警戒船だって自分で雇えよという話だ。あんたらの補助やろ? あんたらが先導してもらうんでしょ? 船社関係あらへん。と、私は思う。

さらに、これに関連する余談です。
こういった事は内海水先で頻発するわけだが、ポイント通過時間を保安庁へ事前報告するのも代理店。進路警戒船の手配も代理店。水先人はただ乗るだけ。3万円や5万円の水先料ならわかるが、なんぼ儲けといて横着しとるんでしょう? 船長ならそれでも良いが、水先というサービスを売ってる身として何様か?と、思う。 船長の上級職とでも考えているのだろう傲慢そのものだ。時代錯誤も甚だしい。そんなことは水先業務の一環として込々でやるのが当然だよ。と、誰だって思う。代理店は船会社に雇われてるんであって、パイラーの子分じゃないですから。
進路警戒船に嚮導してもらうは、保安庁の通過ポイントは代理店に計算させるは、ホテルは予約してもらうは、タグボートは常時とるは、水先の仕事っていったいなんやねん? と、私は代理店時代つくづく思った。
また、水先人の横柄さは昔からのことだが、この頃は水先人事務局員までもが偉そうに振舞っていて、ここの内海の事務局は代理店業界で特に評判が悪い。(2019.6月現在) 内海水先の手配は譲り合って誰しもがやりたがらないほどだ。
彼らは代理店に元航海士がいないとでも思っているのか、時間計算で適当なことばかり言う。しかも態度がデカい。どこぞの入り口まで15分早いとか。もう1回申請しろだの? 乗れないだの。
「パイラーは長い道のりの中で15分も調整できないのか? そもそも15分は誤差範囲ではないか?」
と、これを指摘した。すると、「誤差範囲ではない。できない。乗れない。」などとあまりに見当違いなことを言うので「あなたパイロットさんですか?」と訊いたことがある。「そうだ」とぬかしくさったが、後日パイロットでなかったことが判明する。事務局員がパイロットの名を語るとは、ほんまに呆れた。ええ加減にせえよ、と思った。

日本の港は水先人の一人勝ち
本来、そこに港があるから、倉庫があり、代理店があり、船内荷役、沿岸荷役、乙仲があり、水先がある。皆、港の一端を担っている。どれがかけても港の機能は損なわれ衰退する。そんなことは誰だってわかりきったことなのだが、一職種に従事する者だけが勘違いしている。それが水先業務です。
俺が船を港に連れてきてやっている的な輩もいるが、実際はなんの根拠も関連もない。そもそも船がやってくるのは貿易のためで、その港を選ぶ理由は、近郊に荷主が多い。荷役が上手い。倉庫が清潔で温度管理が徹底されているなどです。船社や荷主が港を選ぶ優先条件は種々あるが、パイロットがうまいからあの港にしようなどでは決してない。
港があるから、水先の仕事があるに過ぎず、そういった意味で、ステベもパイロットも代理店も、倉庫屋もタグ屋も検数も、税関もイミグレも同列にある。

港費における水先料が占める割合(日本)

A船 B船 C船 D船
船種 PCC PCC Bulk Bulk(Thrusterなし)
G/W 36,258 12,939 12,327 27,470
D/W 14,906 6,220 19,839 45,429
N/W 18,121 8,627 6,541 14,609
港       費 Average
Tonnage Tax 652,300 20.3% 310,500 18.3% 235,400 11.8% 525,900 14.4% 16.34%
Pilot Fee(入・出) 939,049 29.2% 524,345 16.3% 622,378 31.1% 536,375 14.7% 24.85%
Towage(入・出) 522,500 16.3% 359,625 11.2% 363,480 18.1% 1,292,500 35.5% 24.05%
Line Hand(入・出) 259,950 8.1% 140,400 4.4% 84,050 4.2% 154,275 4.2% 6.05%
Wharfage 539,519 16.8% 115,545 3.6% 454,249 22.7% 899,093 24.7% 19.03%
Port due 90,645 2.8% 32,347 1.0% 33,282 1.7% 68,675 1.9% 2.13%
Agent 210,000 6.5% 210,000 6.5% 210,000 10.5% 165,000 4.5% 7.53%
TOTAL \3,213,963 100.0% \1,692,762 100.0% \2,002,839 100.0% \3,641,818 100.0% 100.00%
港に船が入るためにかかる費用を港費と呼ぶが、日本では上表のように平均してその1/4が水先料となっている現状がある。
タグの乗組みは3名〜5名でそれに燃料費もかかるのです。それよりも水先人一人にかかる口先料金の方が上です。トン税は国に払う税金だが、水先料はその税額よりも余計にとる。おいおいおい、水先連合さんよォあなたたちが高らかに唱えて高給の根源としている国際競争力は?公益性は?と問いたくなる。
ちなみに日本の港費は、アメリカよりも高く、ほぼヨーロッパ並となって世界最高価格です。(安い国は韓国、中国、シンガポール、豪州等)そりゃ、日本の港をハブ港にしようなどとは誰も思いませんわなあ。

日本の港湾事情は、ジリ貧である。なのになぜ水先人だけが、なりふり構わず大儲けしているのだろう? 彼らは法外な報酬を受け取っている。法外とは、単に法から外れていることをいうのではなく、普通に考えられる程度をはるかに越えていること。著しく度を越していること、非常識なこと。特に値段が不当で高額なありさま。などと辞書には書いてある。
ここには詳しく載せなかったが船内荷役業種さんたちが何人がかりで、その技能を酷使しつつ、またはどんなえらい思いして荷役をこなしていると思われるか。20人がかりでバナナ15000CTも積み上げて50万円儲けるかどうかです。水先人さんあなた方はガントリークレーンに乗ってコンテナを上げ下ろしする操作を見学したことがありますか?あのスピードでしかも正確に、夜中中やるんですよ。集中力の持続は並大抵のものではない。見事です! 水先人さんの仕事って一人でその何倍も貰らって、そんなに凄いんですか? 
私は何回も何回も双方の仕事を間近で見てきました。もし、水先料金がその技術の対価として妥当というのなら、荷役料も今の5倍とられて普通でしょうね。(
こういった港費は最終的に物の価格に上乗されているということを忘れてはならない。パイロットがウハウハしてる分、国民は苦しんでいるという構図である。良心の呵責ないんですかね? 船社さんのみならず、港運協会さんも、国民も怒らにゃならんです。)

水先料金は省令で定められているとはいえ、まさに水先法の加護の元に運用されているからこそ余計に始末が悪い。これら水先料や水先のシステムは、一般の人にはわかりにくい。意図的に難解に作られている節がある。外国の水先料はもっと明快だからだ。
その公益性から現在の水先料は妥当であるという方がいる。これが示すとおり、彼らの考え方は偏り激しく、かつ、完全に世間一般からズレている。まあ、どれほどまで世間からかけ離れた感覚の上に水先業が執り行なわれているかをここで皆さんにご紹介します。

水先人は日本国内に700人近くいるが、東京湾・伊勢湾・大阪湾・内海パイロットが日本の水先の稼ぎ頭で、3000〜5000万円の年収がある者も珍しくない。断っておくが水先人の平均年齢は65歳である。
65歳の一般人が3000万円だ。4000万円だ。と、尋常ではない。一般の方は、水先人とはどんな技術を持ってそれだけ稼げるのかと、疑問に思わないのか、が私の疑問だ。
なにか特殊な技能を保持している場合や、大手上場会社や官庁に勤めて天下る場合(子会社に人間は大迷惑)を除いて、普通のサラリーマンは60歳で定年を迎え、4割カットで65歳まで定年延長してもらう。65歳からはアルバイトでたいがいしんどい思いをして月に10万円稼ぐのがやっとというのが、世間一般である。 ほとんどの人は60歳以降、若いやつに使われ、嫌な仕事でも、歯を食いしばって働いて生活している。介護士など、どれほど偉い仕事を低賃金でやっているのか。福島で廃炉にむけて大きな危険のなかにいる技術者は、どんな思いで従事しているだろう。
なのに、平均年齢65歳の水先集団が年収3000万円、4000万円だと?
(知り合いの水先人に訊けば、みなさん口をそろえて、「誰に偉そうに言われる訳じゃない。楽でようけくれてええぞ」と仰る)

「水先は技術力が必要で、公益性があり、その責任も重い。」というのが彼ら水先人の言い分である。世間の人々は船の世界に疎いことをいいことに、面白いことを仰る。確かに船体の価格は高い。LNG船などは、300億円/隻という。積荷も100億円はするだろう。乗組員の生命が1名1億円として20億円。計420億円を操船するのだからその報酬も高くて然るべきということらしい。
では、同様これらを預かる船長の給料はというと、最大手で(多くて)年収1500万円程度だ。つじつまが合わない。話を替え、最も公益性の強いと思われる運輸の新幹線はどうか? 新幹線には16両編成1323席の原則というのがある。新幹線の車両は3億円/両で48億円。人命は一人一億円なら、1323億円。計1371億円となる。しかし、運転士の平均年収は1000万円程度という。新幹線には公益性がないとでも詭弁を振るうか? 「水先人の高級は当然!」などの言い分は完全に論破できる。
水先は、それしかできない高齢者の給与としては高すぎる。仮に技術料が上乗せされるとしても、同年代(300〜400万円の1.5倍〜2倍も貰らえれば十分でしょう? キャリアを生かして老後を過ごせるだけでも幸せなのに、
欲としい!。。。でも「そんな給料でやっとれるか!」と、仰る?ほんなら辞めて違う仕事したらええやなよ。やってみなはれィ。どこの世界のシルバー職で、そのキャリアで、誰がそんなにくれるんよ。と私は個人的に思う。

船員は元来自分の能力や技術を自身で過大評価する傾向がある。これは彼らの世間がかなり狭いことに起因する。船員は、鬱陶しいくらい船が好きで、いっつもかっちも船の話ばかりする偏執者や、船の事しか知らないという人が非常に多く、他職種に好奇心を持ったり、尊敬したりするような人は極端に少ない。とにかく自分が一番なので、他の職業、技術者、職人がどれほど素晴らしい技能でもって仕事をこなしているかということに無頓着なのである。
したがって、それに比べて自分の技能がどれほどの位置にあり、あまり大したものでないかを当然知らない。自分の持っている海技士の免状が最高水準であるかの如く思い込み、信じて疑わないのだ。それは一級に限らず、三級程度でもそうだ。
そもそも海技者は、海技士国家試験の他、特殊無線技士かせいぜい三海通ぐらいのごく簡単な国家試験しか受けたことがなく、あとはせいぜいTOEIC命で一生懸命お勉強をするぐらいで、世間知らずというか、彼らには比較のしようがない。
いかにも海技士国家試験がよほど難しい(機関士の試験は難しい!)と思っているようだが、全くの見当違いである。建築士、医師国家試験、司法試験、税理士などは言うまでもないが、看護師や通関士や行政書士など、一級海技士筆記(航海)と同等程度の試験は山ほどある。

言い方をかえれば航海士などは技術者ということではなく、今やオペレーターに近い。(実際、昭和19年までは航海士とは言わず、運転手、または運転士という呼称を用いていた。) 断っておくが、機関士は未だ間違いなく技術者と言える。
技術というのは魂を注いでものを作る職人のように1週間や1ヶ月くらいでそこらで身につかない物をいう。
小型船舶操縦士は小型1級であったとしても1週間で取得でき、それらは大手を振って瀬戸内海に出ていく。海技免状が必要な船舶が、それよりいくらか船が大きいからといっても、海上の法律は同じである。よいだろうか、普通自動車の免許だって1ヶ月もまじめに教習所に通わなければもらえない。小型飛行機にあっても1週間や1ヶ月で免許を取れようはずがない。いかに船の免許が簡単なのかかがわかるというものだ。
じゃあ、なぜ商船学校で4年も5年も勉強するのか? それは商船学校は単に免状をとるだけでのものではなく、商船という学問を修業しているからに他ならない。免状をとるだけなら、自社教育や海洋技術学校の2年で十分だ。
(*小型船舶はマグネットが主流であるし、GPSやレーダーのない船も多い。そしてなにより眼光が低く、瀬戸内海でブイを追いかけて進むのもしんどい。そういったことでいうと、小型船舶の方がある程度の商船よりも瀬戸内海を航行するに困難が多いかも知れない。)

水先人は航海士・船長の上級職では決してない
明治から昭和にかけての近代航海技術では、確かに技術者としての経験・能力が必要とされた。しかし、GPSがあり、AISがあり、航路標識は整備され、レーダーその他の機器も格段に進歩した現代、瀬戸内海を航行する能力は、彼らが値打ちを付けて、驕り高ぶるほどの技術というものはない。(いうまでもなくある程度の訓練・教育は必要だが、彼が言うほどの経験などはなくてもよい)
それに見合う技術料として現在の水先人の報酬は常識外・法外であり。到底妥当とは考えにくい。
船員の給料が現在でも幾分か陸上の給料より良いのは、3Kと離家性のためである。水先人は、それが全くないのにも拘わらず、あたかも船員の上級職のように未だ扱われていることが不可思議で、だから、そういった意味からも彼らの得る報酬は破格と言って過言ではない。
毎日家に帰れるは。給料は船員の倍も三倍も貰うは。手をあげりゃ(養成学校に入学できれば、体調及び家庭の事情等で辞退しない限り)ほぼ99%の確率で国家試験に受かるは。責任は軽微やは。そりゃ内航の船長は、誰でもかれでも、(例えその資質に欠けていても)水先人になりたがるという話だ。現水先資格制度・要件は内航業界にも大きな歪を生じさせつつもある。(一航士の引き抜き・青田刈り)
水先業務に離家性がない以上、内航船長職より高収入である理由がどこにも見当たらない。

一方、外航船長の入港指揮は、世界中の港でもっぱら水先人がそれやるのだから、彼らには経験がほぼないに等しい。(車の助手席に乗っていて、どこまで車が運転できるか?という話と同じだ) また内航船長の英語力は全くひどい人が多い。あの程度で水先人をしている人など、外国では決していない。
もし、仮にこの高収入制度を維持するなら、お爺さん連中の既得権を排除して、本来子育て世代が高収入を得れるシステムを構築すべきで、元船員や商船学校卒に拘らず、公正に広く一般から優秀な人材を公募すべきが適当である。世界ではそうしている国も多い。
船に携わった経験者の「そうでもない者」を教育するより、未経験であっても、運動神経と操船センスがあって視力が良く、語学堪能、かつ優秀な者を選抜(後に述べるが、こういった人間は有り余るほどいる。水先人会が人材不足を嘆いているのは嘘だ。)することにより、1〜2年程度の教育と訓練で水先業務は十分可能である。と、私は信じる。
これによって、水先人の質を高め、恒久的に水先人の必要数を供給できることにつながると、私は思う。

Wikipediaには、水先人に関し
近い将来、船長経験を有する水先人が不足することによる船舶交通の円滑な運航が保てなくなる懸念がある。
また、港湾の国際競争力の強化の観点から水先業務の運営の効率化・適正化への要請の高まりから、水先法の一部改正法案(「海上物流の基盤強化のための港湾法等の一部を改正する法律案」)が第164回国会で成立した。これにより、水先人の資格要件の緩和や船舶の大型化等に伴う水先人の知識技能の維持・向上、水先人会の機能強化と日本水先人会連合会の創設等が規定された。

とある。実際そうなのだが、改正後、法律下においても、そこに既得権を死守しようと頑張る人たちの意向が色濃く影響しているため、その資格要件や教育に大きな疑問点や不備がある。
このままでは日本国内における水先業務に支障をきたす恐れがある。そればかりか、国内フェリーの一等航海士の引き抜きや青田刈りによって内航船乗りのバランスにも歪が生じはじめている。

前置きはこれぐらいにして、さあ本題に入ろう。

矛盾だらけの水先制度
まず第一
に水先人の免許に関する矛盾
3000G/W以上で船長の履歴が2年以上あれば、一級パイロットで、2999G/W以下だと10年船長履歴があっても、三級パイロットだそうだ。なんならこれ? 言い方を変えよう。
・内航の3000G/Wしか乗ったことがない実歴2年の船長(三級海技士)は、9ヵ月訓練で100,000G/Wの水先人ができる。
・外航100,000G/Wの船長を2年したが、1回も自分で出入港したことがない船長もまた9ヵ月後には、無制限のパイロットになる。
・だが、2999G/Wで10年も船長(一級海技士を取得していても)して出入港を繰り返し、上述者より操船にかなり長けているであろう者が、2年6ヵ月もの長き訓練をしても尚、2万トンまでの船しか水先できない。一級に上がるまで2.5+2.25=4年9ヵ月 三級の教育期間を入れると7年3ヵ月かかるわけだ。なんだこれ? 矛盾がないだろうか? 2999tと、3000tの差はなんだ? 誰か明確な答えを教えてほしい。アンフェアーじゃないか?
この法律には、自分たちにアドバンテージを付けたい大手出身者の意向が根強く反映しているから無理がある。

国土交通省のサイトには、
以前の制度では、水先免許を取得するには、総トン数3,000トン以上の船舶で3年以上船長を務めた経験が必要でした。しかし、通常、海運会社等で大型船の船長を任されるのは40歳代になってからであることから、水先人になるのは50歳代となるのが普通でした。このため、若い方が進路について考える際、事実上、「水先人」という選択肢は存在していませんでした。
しかし、平成19年4月にスタートした新しい免許制度により、船長経験のない方でも水先人になれる道が開かれました。これにより、例えば3級水先人の場合、早ければ20歳代前半で水先人としてデビューすることが可能になりました。などと書いてあるから、あたかも改善されたように装っているが、業界にいる我々にはそうは映っていない。

大手船社出身の方が、「自分たちだけが得をしているのではないですよ」というカムフラージュと、背に腹は変えられない実情を打破するための、一挙両得を狙って編み出された愚策である。
先にも述べたように、水先で一番儲かるのは、大阪湾(神戸港、大阪港)、東京湾(横浜港、東京港)であることはよく知られている。これらは元来、郵船派閥、商船三井派閥、しかも神戸&東京卒が牛耳って社閥&学校閥で他者(優秀な人材)を排除してきた黒い歴史がある。
このことからもわかるように大手出身者たちは後輩(または自分たち)のために既得権を頑なまでに守り続けてきた。そうやすやすと手放すわけがない。
どんな新しい制度にしようと、彼らの優位性が揺るがないように今回(平成18年)も改正(改悪)されたのである。

第二の矛盾
これもひつこいくらいいうが再度言うが、船乗り、特に船長は、自分たちがもの凄い技術を持って船を動かしていると過信している傾向が非常に強い。
交通・物流機関には、飛行機、電車、船、自動車とあるわけだが、数万トンの船長だからと言って、大型航空機よりも技術があるとはとてもじゃないが思えない。新幹線の運転士とはどうか? バスの運転手とはどうか?
事故を起こさずに運航するには、これら陸上の交通機関は船の比ではないくらい寸秒の気の緩みも許されない相当の集中力と技術が必要であるが、船はオートパイロットに委ねてコーヒーを飲んでいても前に進む場面が多い。

交通機関に従事するための技術力とは五感を駆使して行うものなので、身体検査に関して言えば、本来質の高い検査が厳密に行われなければならない。しかし、船員手帳に記載される健康診断は非常に甘い。要は重い病気がなければ乗れる程度のもで、誤魔化しがなんぼでもきく。
しかし、飛行機はどうだ?非常に基準が厳しい。まあ、基準に引っかかっても精密検査を行い、国交大臣の判定で合格となれば、条件付合格(身体検査で毎回精密検査が付加されたり、身体検査以外にも検査が必要となる)で乗務は続けられるそうだが、50歳以上の航空パイロットだと2割前後の人が条件付合格になっているようだ。
電車の運転士も同様、定期で運転適性検査があり、それに落ちてしまうと乗務できません。なので今現在、2、30代の現役の運転士でも、定年まで運転士を続けられる人は少ないとも聞く。
水先人にこのような厳しい検査はなく、引退は72歳まで自己申告に委ねることが多い。彼らの自負する運輸技術が、そんなに高いものならば、健康は誰かに管理されてしかるべきだが、現状おかしいではないか?

年齢がいくと動体視力の低下が起こる。一般的に65歳以上になると、ピーク時の3分の2程度のスピードまでしか識別できなくなるのだ。
また、目で見たものの位置関係(向き、大きさ、距離、間隔、形状)などを瞬時に把握する時に必要な認知機能である空間認識力(視空間能力)も年齢とともに大きく低下します。これにより物にぶつかりやすくなるなどの変化が見られるのだそうだ。そして、交通機関に従事する者に非常に重要な集中力はというと年齢とともに向上し、43歳前後にピークを迎える。一方、集中力の持続時間の限界は90分と言われている。これもまた体力がある20代よりも、経験豊富な60代よりも、40代が良いという。車での10万人あたりの年齢別法令違反の事故件数も40代が最も少ない。
したがって、これに合わせた人的分布がなされてしかるべきで、合理的にこうなるはずだ。だからどの公的交通機関であってもその働く年齢層は、40代がピークでその前後に下降しているようになっている。
では、なんで72歳まで水先できんねん?ということだが、
それは、水先業務が多少動体視力や空間認識力、集中力が劣ってもできる仕事だということで、それからしても、「水先はなんも選ばれし凄い人しかできない仕事ではない」ということができるのである。

しかし、水先人は57歳がピークとなっている。本来なら体力・知力・健康面から交通機関での労働引退を考えねば道理に合わない年齢だ。なぜこうなっているかというと、大手船社を退職する年齢が55歳であるからに他ならない。
こういったことは是正して然るべき問題だが、現行の法律下では、絶対にできない。

第三の矛盾
その昔、水先人は経験が重要な職種であって、外航の大型船の船長を経験してきた者でしかその役割を果たせないという神話があった。しかし、日本人船員が少なくなってきたことに加え、水先法5条1の欠格事由を是が非でも守りたかった。(外国人を入れてしまうとその技術が比べられるからだ)ことにまみえ、そこで、新卒者にある一定の訓練を施してやらすこととしたのだが、皮肉にも彼らは船長経験がなくとも水先業務を遂行できることをみごとに証明してしまった。

大手で船長をとるということは、学生時代から秀才で努力もして、在学中に甲種船長(筆記)までとったような、心身ともに卓越した人、言い替えればグレートキャプテンだが。それらだけが選ばれし人間として水先人になれるのだと。そう信じられていた。
しかし、今は学生時代に優等賞も上級免状も取れず、外航に乗れる能力もなく、大手などに行けない者(例外もある)が新卒で水先人養成に手を挙げ、そして水先人として立派にその責務を果たしているということに他ならないのだ。言い替えれば、なにもトップクラスでないどちらかと言えば劣等生でも十分こなせる職業だと、広く世間に知らしめてくれたのだ。ならば、それなりの給料でよいだろう。大手にいけないやつの方が給料を余計にもらうなど、船の常識として有り得ない。

こういったことは、狡猾な諸先輩方はわかっていたのだろう。決して自分たちの既得権を損失しないようにした。儲かる2万トン〜5万トン以上は一級と称して、船長経験者しかやれないようにしておいたのだ。
お気づきだろうか? 全く矛盾している。
冒頭書いたように、3000トンの船長しかしてなくとも、たった9ヵ月の訓練で1級の水先をさせるくせに、船長経験がなくとも、訓練で水先ができるとしながら、2年半以上もかけて三級しか与えない。未だ区別しているのだ。
若くてもパイラーへの道が開けているというなら、水先人の免許などは1本化すべきで、その水先経験隻数により、水先出来る船の大きさを制限する法律にしなければだめだ。大きな船を操船したことがないのもハンディだが、出入港操船を自分でしたことがないのも同様にハンディでなければ公平でない。

第四の矛盾
上述のように20代で、かつ船長をしていなくてもそれなりの教育をすれば、パイロットになれるということが証明された。一方、1級水先人であっても、下手糞や英語が皆目だめな問題ある水先人は多いらしいのだ。そりゃそうだ場数も踏まずいきなりやって上手にできる道理がない。
私は代理店経験があるが、日本人パイロットを使ったちょっと腕に自信のあるフィリピン人船長は必ずと言っていいほど、日本のパイロットはヘタクソだと怒っていた。
「この風なのになんでタグが2隻もいるのか? フィリピンならスラスターだけで着ける」
「友ヶ島から、着岸まで何時間かかるんだ!」
などだが、これらで、どうもやはり日本人パイラーがそれほど大した技術を持ち合わせていないということが、おわかり頂けたと思う。ならば、なんのための高料金かということにならざるを得ない。

元来、水先というものは操船においてのみ、その実力を発揮するもので、はっきりいえば、商船教育の一部に過ぎない。商船系卒業だの、三級取得者だの要綱とするのは全くのナンセンスだ。航海士の技術・能力と水先人のそれとは似て非なるもので、厳密に違う。そういうことで、前述の商船学校のボットムクラスでも、そこに特化して長けていればその業を行えるのである。だから、こういった点から言えば、逆に何のために大手船社で船長までして、しこたま儲けてきた者に、また歳食ってから儲けささなあかんねん?ということもできる。(今の水先人になる基準は、なんの一貫性もなく誰かに都合よく作っているだけで滅茶苦茶だから面白い。)

まず、水先人には荷役がない。船内生活がない(船内融和・人間関係などさえ関係ない)。ISMがない。必要な法律も外航船舶職員になるよりはるかに少ない。気象も局地的なものでよい。大洋航海の知識が必要ない。総合的に航海士よりも知識が必要ない。短期の養成で十分に足ります。
ただ運動神経の鈍いやつ、ドンくさいやつはなれない。頭はいいけど、車運転させたら危なかしいというのがいるでしょ。単にあれだ。
なのに航海士はおろか、船長・機関長よりも給料が高いという怪現象がまかり通っているのか?
それは、選ばれた人間であると特権階級の思想があったから、または、それが許されていたに違いないが、今はそういう時代ではないということを頑なに拒んで、いつまでも既得権を大事に水先人になろうとする人間がいるので、中途半端な制度改革しか行われない。国土交通省に上申する者が、それら息のかかったやつや利権がある者だからこうなるのだなあ。いまはまだなんとか制度が保てているかもしれないが、
30年後本当にこんな制度がもつのか?
水先人は当然のことながら船員法で定められた船員ではない。船員でないなら、船員経験者が成る必要はない。憲法9条を変えようかという時代である。その他の悪法はさっさと一新してしまえという話だ。

第五の矛盾
2015年公正取引員会が水先人会に対し、是正命令を出した。独占禁止法違反だが内容は、水先人指名制度妨害と価格カルテルだという。
水先人と船社の個人契約によりタリフより安い料金で依頼(直接交渉)できるシステムがあるのに、水先人会が上手にやらんかったという話だが、公取さん、わかっちゃいないですねえ。
こんな制度は、まともに機能させたらその水先人の出身会社にしかメリットがないのですよ。その他の会社や外国船社は、くそ高いタリフどおりの水先料を結局は払わないといけない。

1)水先人の指名制度をどうせ指導するなら、所属水先人のリストにアクセスして、そこに示された顔をクリックしたら水先人各人のライセンス・船歴Bio・水先Bio等、事故歴、TOEICスコア、また個人の料金タリフなどもわかるようにさせないとだめです。そこで水先人と船社とチャットでも電話でも交渉できるチャンネルを置かせないとこのシステムの意味ないですやん! 財産・生命を一手に与ってもらうんですからね。
2)もしくは、価格カルテルは間違いないのだから、水先人連合会1団体しかないこと自体を取り締まって頂きたい。2団体以上あれば問題になったようなことは起こりえませんから。公益性を全面に出して営業しながら、「料金が2007年から水先人個人と交渉できるようになった。」てなんやねん? こんなもんは現状においてに描いた餅状態である。

第六の矛盾
ここまでで、水先人の技術が卓越したものでなく、しかも船長経験は全く必要ないということをわかっていただけたと思うが、まず、一級水先人の給料ありきで、従来の料金を踏襲しているから、必然的に三級の報酬も上昇している。
船長上がりの人間が、今までの給料を維持しようとするのだからこんなことになる。仕事の質、ライセンスの難易度に対して全く適正ではない価格である。

水先法の再改正の必要性
以下の表に各国の水先人になるためにの資格要件等をまとめた。別にIMOで基準が定められてるわけじゃなく、各国様々であるということだけ理解して欲しい。(どうにでも変えられる。)
Qualification & Lisence

Japan Singapore Australia Philippine Florida China
Natinality Japanese Regardless Regardless Philippine U.S.Citizen Cinese
Age - 24 - 35 21 25
Diploma Regardless Polytechnic
(高専)
- Regardless high school University
Lisence 3rd grade
officer
Cheef officer More than
3000GT officer
More than
500GT Master
1600t officer
or Master
NIL
Carrer NIL NIL More over 35m
Master /3years
Master 5 years Officer 2yeras NIL
Training and
educational
procedures
9month to
30month
Singapore Miritime
Academy: 9month
Unkown Examination only
by MARINA
2years 4years
Pilot Lisence
Description & Limitation
3kind 5kind 2kind 1kind &
Unlimit
1kind & Unlimit 5kind
*MARINA : the Maritime Industry Authority(Philippines Government)

世間一般が納得する料金システムや養成システムに改正しようとすると、既得権益を持ったものは、「そんな馬鹿なことはできない」という。
なにかをやろうとする、改革をする、などのときにおいて100%の賛同があって成し遂げられるものはない。とくにそこに既得権益が発生しているものおいては、いくら世間的に正しいことを言っても、反対派が80%をも超えてしまうものだ。特に、

水先法 第五条(欠格条項)の一に、日本国民でない者は水先人であることができない。

と、ある。なんのために? こんなものは変えてしまったらよい。と、私は思う。
(英語で教育できる人間がいないんだろうなあ。)

旧来日本籍船には9名の船舶職員を乗せなければならなかったが、1999年に船舶職員法の改正により、船長と機関長を除いて、外国人船員であっても船舶職員として日本船籍に乗り組むことを可能とした。
そして、平成31年1月、ついに、外国人船員の実務能力確認制度について、これまで対象外だった船長・機関長にまでその範囲を拡充すると国土交通省が発表した。
「これにより、
外航日本籍船における外国人船員の活用が促進され、国際競争力の強化が期待されます。」と結んでいる。
日本籍船であろうと、日本人船・機長でなくてよいのだ。では、水先人が日本人であり続けなければならない理由はどこにあるのだろうか?
出入港交信が日本語でなされているから日本人でなければならない? 全くの詭弁だ。
いいか、船とポートラジオとの交信で日本語を用いているのは日本だけである。世界中どこでも英語だ。英語に変えなさい。
「タグとの交信は押せ、引け、STOPだけではない。他にこまかいニュアンスが・・・」え? それはどんなとき、いつ? 日に何回? どんなこと?
飛行機のPilotが成田に着陸するのに日本語でやるのか? バカを言ってはならない。  
タグ、ポートラジオ、船長、保安庁など水先人が行うコミュニケーションの中で最も大切なのは、船長とのものである。
普通の外国人船長は英語を話す、だが、TOEIC470点(水先人教育機関入学基準)くらいの英語力の水先人はとてもじゃないが自由にコミュニケーションがとれるとは言い難い。私らからすると、ようお470点ぐらいで恥ずかしくもなくパイロットになろかと思うたなあ?ド厚かましいと思う。日赤の国際看護婦の資格要件は730点だが、水先人資格要件の甘さよ。私はどこぞの会社のようにTOEIC崇拝者(この試験は日本・韓国だけのものである。TOEICは速読力を問われるものが大多数あって、本来の聞く・話す・理解する英語力測定から逸脱しているところもある)ではないが、それにしても470点や600点くらいでパイロットはないだろ?
タグやポートラジオを交信できたって、船長とコミュニケーションできへんのに、仕事はできるんかい? 都合のええことばかりを言うんじゃない!と言いたい。

日本へ寄港する多くの外国人船長はびっくりしている。水先に乗って来たはええが、(それらスコア470点組だろう)ブリッジ内でムチュ〜として着岸するまでの2時間あまり全く話さないそうだ。
日本語が話せないと(日本では)水先はできないというのなら、英語もせめて郵船・MOの船長基準(TOEIC650点)以上の実力をもった人間を選抜して教育させなさいよ。3000万円も4000万円ももらうんやろ? と諭したくなる。なにが公益性の高い仕事だ? 玄関口で日本に大恥をかかせている者が少なくないという。
自国の人間しか水先をできないなどと言ってたら世界で笑われまっせ、中東のどこの国で自国の人間が水先をしているのか、みなインド人か、ヨーロッパ人ばかりではないか。
日本語ができるヘタなやつと、英語ができる操船の上手なやつ、中東で採用されるのはどちらですか? 日本語が堪能でないと水先ができないなどは議論に値しない。

日本では2018年12月14日改正入管法が公布された。
○●特定技能1号○●
1号は、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を持ち、業務に従事する外国人向けの在留資格のことです。
最長5年の滞在が許可されていますが、家族の帯同は認められません。
※技能実習を5年おこなうと特別技能1号を取得することができ、あわせて最長10年間日本に滞在することが可能。

●○特定技能2号●○
2号は、同分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格のことで、こちらは家族の帯同も許可されており、滞在期間を更新することもできるようになります。

現時点で2号に属する業種はなく、今後も数年間は受入れをしない方針が決められています。
と、発表されている。嘘だ! なぜそんなことを言うんだ? 
現時点でこれらに属する業種はないだと? これ以上ない職種があるじゃないか水先人だ! ばっちり
どストライクの職業が水先人である! 
フィリピン人外航船員は23万人という。昔と違って、このごろは優秀な船員も多い。また5〜10年の外航船長経験者さえざらにいる。一方日本は、外航船員が2000人、内航船員を入れても3万人弱なのである。底辺が広いところからでないと優秀な者は出てこない。水先人の成り手がない、不足している、なんて嘘じゃねえか、フィリピンには適任者が有り余るほどいる。
(内航船に乗ったとき、フィリピン人船員の能力を侮っている日本人を何人も見かけた。私は日本人船員もフィリピン人船員も両方接して見てきたが、いつの時代の話をしているのだろうと思った。時代錯誤も甚だしい。今や多くのフィリピン人船員は、日本人船員よりよほど優秀かつ人格者であるとはっきり言える。毎港着岸するや否や離船し、パチンコだか飲み屋だかに行って帰ってこないバカ船長などはいない!)

だいたい大手3社体制もいつまで続くかわからない。ONEかTWOかしらないが、コンテナ船事業の統合は世界に引けをとっているからこそのもので、韓進が2016年ポシャッタように日本の海運界も危うい。商船学校などいつ廃校になってもおかしくない。それに5G・6G通信とAIにより、将来船員はいらなくなるだろう。特に外航船員が現状2200人よりまだまだ減る可能性を否めない。
また内航にだって韓国内航業のように、いずれ外国人船員が入ってくるだろう。現状内航船員27000人も同様に減少する。
そこからどうやって水先人を確保していくつもりなのだろう? しかも大手に務める者の優遇措置を備えたまま。

上記の事はわかりきっていることなのに、なぜ大手船社の社長経験者などが声を大にして言わないか?
この最も大きな原因は、しがらみだけではなく、もう一つある。船長経験者の持って行き先に困るのだ
定年延長問題の弊害がここにもきている。再就職先としての水先人に救いの手を求めているからです。
いくら大手船社と言えど、プライドが異常に高く、船しかできず、世間的な常識に欠けて、金に汚く、重箱の隅をつつく気質で、責任取るのが大嫌い。こんな面倒くさくて、扱いにくい年寄りを置くポジションがそうそうない。子会社にでも捨てるのが関の山なのだが、そこでも辟易されている現状がある。(子会社の人間はたまったものではない) 全員を引き取れるはずもない。大迷惑である。水先制度を根底から変えれば、これら偏屈者の再就職先がないのです。
こういった背景があるので、水先料が高いことや後継者問題など、船社も強気で言えないところが往々にしてあるんだなあ。

船員の給料は昔から高かった。
それは、元々その難易度や技術力からではなく、離家性や24時間拘束、昼夜を問わない労働環境などその特殊性から高給となっているので当然なのだが、陸上勤務で比較されてケツをかかれる。
船の世界はなかなか陸上の人にはわかりにくいので、船員を陸上勤務させるということが、戦後頻繁に行われるようになった。この際、東京六大学卒などと机を並べることとなるわけだ。それでも昭和30年代までの商船卒は東大などに引けを取らないほど優秀であったが、それ以降、船員の能力がそうでもないことが露呈し始める。上述の特殊環境を考課せず単に能力だけで評価されてしまったのだ。
それで、「なんで英語もろくにしゃべれないこんなやつらが俺らより高給取りなのか? 船なんか日本人じゃなくとも動かせるんちゃうんか?」などの不満が社内各所に生まれた。(離家性を評価できない無知の意見だが。) かと言って船員の給料を下げれば文句が出る。(当時海員組合は強かった。)なにか策が欲しかった。

そこんところへもってきて1960年代頃から、外航船社では船員の給料高騰や税制負担から国際競争に後れを取り始めた。国際競争に勝つためには仕方ないのだという大名目があって然るに、1970年代初頭からマルシップや仕組船と制度の導入が始まった。
実体のない子会社を税金の安い国において船を造り、賃金レベルが低い国の船員を乗せて経費を削減するという理由で、能力はそうでもないくせに文句が多く高給ばかりもっていく日本人船員を体よく淘汰できるよい機会となり経済性と社内不和の解決を形にしたのだ。

頭のいい人は色んなことを考える。ただし、その負の遺産を次の世代に残して去っていく。自分の生きてるときだけ、現役のときだけ儲かればそれでいい。結果、船員はどんどん外国人にとってかわるようになり、昭和47年当時57000人だった外航日本人船員は現在2000人程度までになった。
その40年ちょっとの間に、船員の給料はどうなったかというと、当初日本人船員の1/3程度だった外国人船員の給料は、現在、日本人とほぼ横並びとなっている。もうそんな低賃金で乗ってくれるまともな外国人はいなくなってきたのである。
現在、フィリピン人船員の給料は日本人とほぼ同等まで上がっている。なんなら日本人船員よりも高給取りのフィリピン人船長もいる。かといって、いまさら日本人に替えれないことはわかりきっている。
当時は良かったが、足元を見られて、発展途上国の人間の給料が高騰していき、いずれ日本人に追い付くなどということは自然の摂理である。当時でも賢い人ならちょっと考えれなわかりそうなもんだが。。。
いや、彼ら頭のいい人たちにこんなことがわかなかったはずがない。それには、30〜50年かかると彼らは踏んでいた。そのころ自分は業界にいない。この世にいない。などと、彼らが残した功罪は計り知れないほど大きい。
当時の偉いさん連中が将来のことを全く考えず、自分の任期(あるいは世代中だけ)儲ければ良いという浅はかな考えから、やった悪行だ。結果、海運界はめちゃくちゃになった。かつて海運界(大手船社)はえらいことをやってしまった。
・各港の商船学校卒業生が激減したことから、港(Foreman)のレベルがかなり落ちている。
・外航部員の技術断絶
・ほぼ3社+2社しか日本人外航船員がいない不健全さ
・船員保険制度の崩壊
・就職がないのだから商船学校に優秀な人材が集まらなくなった。結果、商船卒より自社養成船員が主流となりつつある。
などなどだ。いま、同じことが水先業務でも起こっている。
自分が水先を行っているときだけ、ようけもらえればいい。自分らが成るときに、なり易いやすいシステムとしておきたい。などの自分よがりがその先の将来必ずえらいことになる。業としての水先は絶対に必要なのである。今、既得権を持った人間こそが、行動を起こさなければならない。と、私は思う。

かつていた50000人超の日本人外国航路船員が不要になった。それでも日本の貿易は不都合なく執り行なわれている。今700人程度の水先人が外国人や誰かにとって代わって何の不都合があるのだろうか?
私が考える恒久的水先制度維持のための制度は、
1.水先法 第五条(欠格条項)の廃止。
  外国人(フィリピン人等)にも門戸を開く。(教育は別クラスとするか、教育全体を英語教育とするかは別問題)
2.1〜3級制は維持するが、単に水先履歴と昇格試験によりそれを行使する。誰であっても3級から始めるということ(水先履歴2000隻で2級受験資格を与える等)
 船員経験により、飛び級することは認めない。ただし、3級海技士以上を保有する者については、水先学校の初等教育(1年)を免除することができる。経験者優遇はこれぐらいにしとかないとフェアではない。
3.水先人連合会の独占を廃し、水先業務を行う会社を少なくとも2社設立し、水先人はこのどちらかに籍を置いて就業しサラリー制を導入する。(公益性をと言いながら自営業とはどういうことか) 勤務地による不公平を是正。水先人の給与は現在の1/5 〜 1/3程度にする。すなわち、内航船船長と同等以下にする。(当然である)
これによって若手船員の過度な流入、青田刈りを防げる。また、会社組織にすれば、地方港への定期的な転勤(水先の基本があれば再教育で可能)を命ずることもできる。
4.3により必然的に水先料は下がる。競争力の観点から、その水先料金は韓国・中国程度が望ましい。また、水先タリフをわかりやすいものに変更し、タグ多用割引や進路警戒船の水先人もちなど、サービス業として正しい方向性を確立する。
5.訓練・再教育(転勤のためのもの)・休暇等の観点から1000名(現在より300名増:省令により定めらている定員は330名)程度の定員とする。水先人の給与を現在の1/8〜1/3とすることで、十分可能。
水先総数は、約17万隻で、総収入約350億円程度といわれている。この87%がパイラーの純益であるから、
35,000,000,000 x 0.87 = 30,450,000,000
(35,000,000,000 x 0.13 = 4,550,000,000事務員等必要経費)
30,450,000,000 ÷ 700人 =
4,350万円(現状パイラー1人当たりの推定平均年収)
水先料金を現在の平均1/3にして、水先人定員1000人にした場合は、
35,000,000,000 x 1/3 = 11,666,666,666
11,666,666,666 - 4,550,000,000 = 7,116,666,666.-
7,116,666,666 1÷ 1000名 =
716万円(現在の1/6) 但し、700名のままなら1000万円超/年
老後のセカンドキャリアとしても、新卒からの生業としても十分成り立つ、これでも高給取りだ。「そんな給料で誰が水先人なんかなるんだ?」と仰る? それは大手に勤めて高給をもらっていた人、少数の論理だ。と、私は断じたい。

私が考える水先人学校入学要件(やはり一定の水準がなければならない。背に腹はかえられないから優秀でなくともよい方式は金輪際やめる。)
1.TOEICでやるんなら、スコア750点以上
郵船・MOの船長要件が650点となっているので、これ以下となっては話にならない。これにより、水先人がブリッジでムチュ〜として、ひとことも話さない等の日本の恥をなくす。
2.未経験者については、大学卒業資格を有し、1の条件を満たす者について入学試験(筆記及び、視力・運動能力、適正)を実施する。2年半程度の教育を施す。
3.三級海技士以上を保有し、かつ、1の条件を満たすものついて入学試験を免除する。経験者優遇をこの程度以上行う必要は全くなし。

水先のやり方については現役水先人・現役船長の意見も必要だが、制度を作る場合には、既得権を持った者を絶対に加えてはいけない。わがが生きとる間さえ良かったらええ!と、いう考えは、是非捨てて頂いて、既得権のない有識者で将来の水先制度をよく検討して頂きたい。今、働いている既存の5区(関門、伊勢湾、東京湾、大阪湾、内海等)約400人程度が、涙を呑んでくれるだけで、優秀な人材の確保が将来的に継続して見込まれると、私は考えます。

(2020.2.19)

作者著書