損傷時復原性(ダメスタ)

われら海族
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ダメージスタビリティー(損傷時復原性)とは、
船を多数区画の水密構造にしたり、浸水防止区画を設置することにより、衝突や座礁での浸水(一定の浸水率内: 満載時70%〜軽貨時95%)後も、浮力が保持して、復原性が維持されていること、または、最終水線が浸水を制限する甲板を超えないことなどが国際法によって規定されています。
砕いて言えば、2009年以降に造られた船については、ダメージスタビリティーに準じた積み付けをしている限り、貨物艙1つぐらいに損傷を受け浸水しても船は沈まないということになる。
これには、当然、造船設計段階での考慮然るべく、そのうえ載貨時での制限が要になってくることも在り得るということになります。積荷量により重心の位置が変われば、復原力( = W x GZ)も変化するからですね。

MARPOLIBC コードでは、船体損傷後の復原性残存要件を以下のように記している。
@浸水時の最大傾斜角度(浸水して平衡する角度)は25°を超えてはならないが、軽貨時で乾舷が高く、甲板縁が没しない場合は30°までを限界とする。
A最大復原梃(てこ)GZが0.1m以上であること。
B復原性範囲が20°以上
C残存復原性面積が0.0175m-radian以上となること。
*360°= 2πrad. → 1rad. = 57.3°であるから、損傷後の平衡状態から復原性範囲の角度を57.3°で割って(rad.)、それにGZ(m)を掛ける等した形で残存復原面積を算出する。(下図青部分)


左図は、上記要件を図示したものである。GZ Curve(right armともいう)内の黄色部が船体損傷により25°傾いて、復原力が失われたことを示している。
このとき、
復原範囲
22°=(47°- 25°) 程度、
GZ (right lever) は0.2m
残存復原面積は、0.04m-rad.
あるので、復原残存要件を満たしていいると言えます。

ローディングコンピュータを利用する計算方法は大別して2つで、@損傷して海水が流入し、横傾斜とトリム変化が起こった後の復原力を各区画ごと計算し、全てにおいて合否判定をする方法と、A喫水や許容重心高さ(KG)等を残存要件となるように設定して、その範囲内となるようにする方法がある。


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